アベンチュリン・タクティックス ルート1 第16話:失いたくない 組長や姫子、丹恒、なのかは星にとって大切な人。みんなはいつも近くにいてくれた。彼らが“一生いなくなってしまう”と具体的に考えることはなかった。
だから、今まで人を失う恐怖を知らなかった。
時々、アベンチュリンはぼっーと遠くを見つめていることがある。どこかに行ってしまいそうな寂しい目だ。
彼の本心は分からない。疲れてぼっーとしていただけかもしれない。
だが、星はどうしてもそうには思えなくって、彼がふとした瞬間に消えてしまうのではないかとずっと怖かった。
酷い時には自分を庇って彼が逝ってしまう————そんな悪夢を見ることだってあった。
そんなのは嫌だ。
アベンチュリンは絶対に失いたくない。
だからかもしれない。
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