旧所有物独白いつの間にか、あの家にいました。
あまり大きくは無い家で、小さい女の子が2人、10代半ばほどの男の子が1人、両親の5人家族でした。
この家に来る前のことはあまり覚えていなくて、真っ暗な中、色んな音がしていた事だけをぼんやりと覚えています。
あまり変わることの無い毎日はあっという間に過ぎ去り、私が家に来たばかりの頃はまだ幼かった二人の女の子も小学校に通い始めたらしく、おもちゃやクレヨンが散らかっていた部屋にはランドセルが散らかるようになりました。
お兄さんは新しく家に来たパソコンで毎日色々な音楽や動画を流してくれて、自ら動くことの出来ない私に人間の文化に対する興味と知識欲を満たしてくれました。
まだ、寒かったでしょうか、その時はまだ自我が不明瞭だったもので、外気の冷たさなど私には些細な問題ではありませんでしたから季節などは覚えていないのです。雪が降る前だったような気もしますが、それも、定かではありません。
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