戦化粧 卓上の鏡に映る顔は、いかにもつまらなさそうに歪んでいる。
ジェイミーはアイブロウで眉を描き足しながら唇を尖らせた。最近はどうも面白い出来事がない。平和、という意味ではない。いつも通り諍いを適度になだめたり、小規模な試合やストリートファイトで小銭を稼ぐ日々を送っている。その相手に張り合いを感じないのだ。
トラブル続きで大々的な大会が開かれていないから。それも理由の一つだ。だが元凶ではない。
記憶の片隅で、ツーブロックの上に金の髪を揺らした男が嘲笑う。
生温い血を滾らせられたときから、ずっと彼の影を追いかけてしまう。あの野生に満ちた眼光で睨まれなければ満たれない欲を抱いている。そんな相手に出会ったのは幸運であり不幸でもあった。それ以外の刺激がこうして物足りない日々に変わってしまったからだ。
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