世界はそれを愛と呼ぶんだぜ「そうだ旅に出よう」
悟浄が真面目な顔でこんな事を言い出したのには一応理由がある。
まずは数時間前まで時を遡ろう――
今日はもう太陽が沈んでしまった。いつも夕日に向かってジープを飛ばしている三蔵一行は、とある森の中で野宿をすることにした。
いくらジープのヘッドライトがあるとはいえ、夜はろくに視界も利かない。それに無闇にエンジン音を響かせて移動していると、妖怪の襲撃に遭う確率も高くなるからだ。
停めたジープの座席、それぞれの定位置に四人がいる。バックミラーには携帯用の小さなランタンが、それでも四人の表情を読み取れるくらいの明かりを灯してぶら下がっている。
「……困りましたね。食料が底をついたみたいです」
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