膝折れてなお「知っているかい、坊や」
ふつりと細い茎を手折った鶴丸がついでのように口を開く。鶴丸の唐突な語りはめずらしいことでもない。はぁ、と諦めたように息を吐き、大倶利伽羅は話の続きを待った。
「こいつらは折れて倒れても、そこから根を伸ばして立ち上がるんだそうだ」
「そうか」
「こんな細っこい茎だっていうのになぁ」
再び、鶴丸の手が花を手折る。
「…おい、あまり引きちぎるな」
「刈りつくさなければ別にいいだろう?」
気にした風もなく鶴丸は足を進めていく。ゆらゆらと揺れる花の群れ。
「きみと似ている」
ともすれば聞き逃しそうなほどに、ぽつりと紡がれた言葉に、思わず足を止める。その気配に気付いたのか、振り返る鶴丸の口許には静かな笑みが浮いていた。
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