滅私、貢献、奉仕。
滅私、貢献、奉仕。
頭で考えて意識して、胸の内に留めるために繰り返す。負荷は欲しいけれど、それは自分を抑えるような圧迫感とは違う。服従したいけれど、この衝動には抗わなきゃいけない。だってなんだか乗っ取られそう。空っぽのはずの僕の中から顔を出そうとしているもの。奥の奥にいたのは無我だったはずなのに、これはなに、きみはだれ。
「さるちゃん、」
「あ? ンだよ、急に。ぼーっとしてたかと思ったら」
さっきまで呼んでも気付かなかったくせに、って言われて、それが自分のことだってすぐには繋がらなかった。いけない、こんなの奴隷失格だ。しっかりしなくちゃ、なんて思ったそばから、こんなことを訊ねる自分がやっぱり信じられない。
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