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    korekiyo

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    korekiyo

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    0真桐の出会いをこんな漢字で書きたかったよっていうざっくりとした流れです。
    書きたいセリフとか書いてるだけのものなので、嗚呼こいつこんな感じのヤツ書きたかったんだぁって半笑いで目を通していただけるとありがたいです。

    0真桐(仮文) 重厚な扉を潜った先、東京でもめったにお目にかかれないような豪奢な雰囲気が桐生を迎え入れた。

    『桐生ちゃん、暇ならちょっと大阪に行かない?』
     杉田ビルの備え付けの黒電話から聞こえたのは明らかな低音。その癖わざとらしい奇妙なしなを作った話し方と男である自分をちゃん付で呼ぶ人間を桐生は一人しか知らなかった。
    「……風俗王か?」
    『ご明察!!桐生ちゃんにどうしても連れていきたいお店があるの』
     この風俗王と名乗るオカマを含めた5人の億万長者“ファイブビリオネア”と不動産バトルをしたのはついこの間のことだ。
     ダメかしら?とこちらを伺う癖に、あれよあれよと日取りを決め、いつの間にか茉莉奈にも手を回していたことに桐生は関心を通り越して呆れの感情を抱いていた。
     


    「桐生ちゃん、貴方まがりなりにも経営者の端くれなのよ?しかも私たちファイブビリオネアを倒した、ね」
    「だからって、なんでわざわざ蒼天堀まで?」
     日本一の歓楽街と言われる神室町でもグランドほどのキャバレーは早々お目にかかれない。お目にかかれはしないがここと同じくらいのレベルのものならあの町にも存在はしているだろう。
     わざわざ約三時間をかけて東京から大阪まで来た挙句、キャバレーで勉強しろとはいったいどういう意味なのか。
    「桐生ちゃん、一流の経営者っていうのはね。常にアンテナを張ってるものなの」

    「相手が動く前にどうやってその土地を手に入れるか。相手の動きを読んで先回りして利益を得る」

    「目で見て、耳で聞いて、話しているときでも、常に思考は働かせておけたらいいわ。その分では東京のかしこまったキャバレーやクラブより蒼天堀の方がみんな好き勝手なこと言ってたりするから練習にはもってこいなのよね」

    「喧嘩だってそうでしょう?常に相手がどう動くか予想して相手が仕掛けてきたときはそれをどう効率的に交わすか、相手がされて嫌なこと、自分がどう有利になるか。むしろ相手が攻撃を仕掛けてくる前にどうやって制圧するか。意識的にしろ無意識にしろ考えているはずよ。そしてそれは経営も同じ」

    「特にアルコールの入っているときの人間っていうのは本性が出やすいわ。一流といわれる人間でも酒が入れば屑に成り下がる奴もいる。ピンからキリまで人を見るのにキャバレーほどおあつらえ向きな場所はないの」

    「だからね、桐生ちゃんは1週間に2、3回グランドにお客さんとしてきて、キャストの女の子の仕草や気の使い方、客がスタッフやキャストとどう接しているか。あとできる限り聞き耳立てて周りの客の会話を理解する訓練をしてほしいの。期間はそうね……2か月くらいかしら」
    「なっ!」
    「これでもまだ短くした方よ。会社の方は茉里奈ちゃんと話はついているし、大阪でも不動産探しといてくださいね!!って言伝も預かってるわ」
    「いつの間に……」
    「仕事ができる女って、かっこいいでしょ?」
    「お前はオカマだろうが」
    「体は男だろうけど心は乙女なのよ!!そんな言われ方したら傷ついちゃうわ!!」
    「……すまない」
    「まぁ、私は優しいオカマだから許してあげる。まぁ、その話は置いておいて、もう一つここグランドを選んだ理由となぜ2か月っていう期間かっていうと……」
     
    「あら、丁度来たわ。」
    「?」
     VIP席の柵越しに風俗王の視線を追ってそちらに眼を向ければ細面のポニーテールを結わえた男がまるでその花道を揶揄む主役のように優雅に堂々と歩を進めていた。
     皺のない黒のタキシード。その服越しにもはっきりとわかる鍛え上げられた肉体。一定の速度で進む歩みの中でも体幹がぶれることなく、もし喧嘩するなら手ごわい相手だな。と桐生は無意識に考え、何を堅気の人間に対して思ったのだと小さく頭を振った。
    「あいっかわらず、ほんっと、いい男!!見た目ももちろんだけどタキシード越しからでもわかるあの鍛えられた肉体……鋭いまなざし……ホント彼が神室町にいたらすぐにお近づきになりたいんだけど……」


    「……で、あいつが二か月滞在の理由なのか?」
    「そ、蒼天堀の夜の帝王と言われる真島吾郎をしっかり観察しなさい。今は盛況なグランドだけれど2年ほど前は閑古鳥が鳴くほどの寂れたキャバレーだったのよ」
    「そうなのか?」
    「ええ。それを真島吾郎は一年もたたずにこの店を盛り返して見せた。噂によるとなかなか強引な手も使ったらしいけれど、それでも強引なだけじゃこれだけの規模にまで店を成長させるなんてできないわ。経営手腕は本物よ。だから桐生ちゃんは、彼を見て、彼の行動を理解できるように努力しなさい」


    「今のあなたは正直勢いで成り上がっているから継続させることは難しいわ。だからと言ってそっくりまねろとは言ってないからね?真島ちゃん以外からも見て聞いて知ったことを、考えて、理解して、落とし込んで、自分の中で消化させることがこの二か月の課題よ」
    「なんだかお前がちゃんとしたアドバイザーに見えてきた……」
    「失礼ね、ちゃんとしたアドバイザーなのよ」


     グランドに通い始めて3週間ほどで事件発生。
     真島が出払っている際によった客がキャストに暴力をふるい、店内は騒然となる。
     それをたまたま来ていた桐生が鎮圧。
     しかし、暴れてしまったことと備品を壊してしまい、謝罪と共に弁償費として札束を渡し店を出る。
     店内が落ち着いたころぐらいに、店長から連絡をもらっていた支配人が返ってくる。
     店で客が暴れていたこと、それを桐生が鎮圧したこと、こちらが感謝しなけれならないのに、備品を壊したりほかの客を驚かしてしまって申し訳ないと謝罪したうえ弁償費として札束を置いて店を去ったことを知らされる。
     
    「桐生様が?」
     ここ数週間、頻繁に来店している青年の顔を思い出す。
     白のジャケットに鎖柄のオレンジのシャツを身に纏った、精悍な顔立ちの青年を。
     月の初めに如何にもなオカマと共にやってきて、それから週に2,3回の頻度でやってくる。
     明確な年齢はわからないが、その落ち着いた酒の飲み方は自分と同じ年……いや、キャストに対する接し方やこんなところに頻繁に顔を出している経済力を考えるともしかすると自分より少し上なのかもしれない。
     独特な雰囲気と、常に張り詰めた雰囲気を纏っていたその男は明らかに堅気の人間とは思えなかったが、キャストから聞いた話によると不動産会社を経営しているようで、初日から数回一緒に来ていた同伴者はそのアドバイザーらしいと聞いた。
    「お客様は暴れるわ、キャストに手を上げようとするわで大惨事になりかけていたところに、桐生さまが止めに入ってくれまして」
     いやぁ、すごかったです。瞬殺ってああいうことを言うんですね。とその時のことを思い出したのかボーイがやや興奮した口調で振り返った。
    「で、その桐生様を帰られるんを止めんかったんか?」
     こちらが感謝し何ならサービスでお返しとお詫びをしなければならない立場なのにもかかわらず、多額の金を払わせて帰らせるとは何事かとその隻眼を細めれば、ボーイはとんでもない!!と両手を胸の位置に上げて慌てて首を振った。
    「ちゃんとお引止めもしましたし、桐生様に何の責もないってことも言ったんです!!でも、穏便に納められずに物を壊したのは自分だから。とそのまま札束置いてお店を出てしまいまして……」
    「どっちに向かったかわかるか?」
    「慌てて後ろを追ったんですが見当たらなくて……」
     
     さて困ったと悩む真島。
     追いかけたいが居場所がわからない。
     しかし、あの独特の目立つスーツを着ているなら誰かしら住人が見かけているだろうととりあえず店を出る。
     道行く人に尋ねていくとあしたば公園のベンチに座っていたよ。教えらえ向かう。


    あしたば公園にて、桐生と真島が遭遇。
     支配人モードの兄さん
    「この度は、こちらの不手際により桐生様には大変なご迷惑をかけ仕舞い申し訳ございませんでした。桐生様が置いていかれました料金と弁償費のこちらは謹んでお返しさせていただきたいのですが…」
     慇懃に頭を下げる真島に、
    「頭を下げられるいわれはねぇ。こっちが勝手にしゃしゃり出た挙句、きれいに納めることができなかった。もしかしたらあんたの店の人間が俺よりももっと穏便にことを収めてたかもしれねぇのに」
     と言って金の返却を断る。
    「ですが……」
     なお食い下がる真島に。
    「なら、支配人さん。ここらで何かうまいもんでも奢ってくれねーか?あいにく蒼天堀は詳しくなくって何がうまいかさっぱりなんだ。できれば気軽に物が食えるところがありがたい」
     といわれて、なら。と公園の外に留まっていたおでん屋に連れていく。
     桐生と兄さん屋台でいろいろ話す。
     なぜ桐生が大阪に来てグランドに頻繁に通うようになったのか。
     通う様になって真島を観察し、その支配人としての店の采配に感動したとかまっすぐな眼と飾らない嘘のない言葉に、真島はちょっと困惑。
     (ちょろいけどここらへんで恋心の欠片が芽生える)
    「あんたはすごいな」
    「いえ……」
    「なぁ、支配人さん。敬語やめてくんねーか?」
    「ですが…」
    「堅苦しいし、敬語使わるのはどうにもなれねぇんだ」
    「……わかった。ならお言葉に甘えて普通にしゃべらせてもらうわ」
     で、つらつらと話して、桐生の方が年下という事実を知り、兄さんびっくり。 
     迷惑かけたからもうグランドには行けないな。という桐生に、助けてもらったのにそんなことはない。今まで通り来てくれ。という兄さん。



     それから、変わらぬ頻度でグランドに訪れる桐生。今までは存在認識だけだった真島だが、おでんを一緒に食べた日から桐生がいる日は自ら桐生のいる席に近寄り数言言葉を交わす。
     で、グランドに桐生が赴いた日はそのまま一緒に蒼天堀の居酒屋やバーに連れ立って出かけたりして振興を深める。
     

    なんやかんやで兄さん恋心自覚。
     四苦八苦試行錯誤の上はれてめでたくくっつきます。
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