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    KRMR08_olo

    @KRMR08_olo

    ヒーローと人外が好き。かっこいいのも可愛いのも好き。人外×少女な異種間愛、師弟親子兄弟愛が尊い。R15程度の流血はあるかもしれない。一枚絵より漫画やお話や捏造設定考える方が楽しいかも。

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    KRMR08_olo

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    アニカビ時空で青基調のモルフォナイト(のちのバルフレイナイト)と夢の妄想捏造話。漫画では描き切れないので全貌と補足付き。モルさん、メアに冥王の斬閃バルフレイ使って魔獣にされたら朱くなる。それ以前の話。

    胡蝶の夢文明の発達していないとある惑星。銀河戦士団はこの一ヶ月ほど、連なる岩棚の影を仮拠点としていた。数日前の魔獣達との戦いは勝利。だが常に先を見越して行動を起こす団長のオーサーは、油断ならぬと警戒態勢を取らせつつ、団員達は暫しの休戦の日々を過ごしていた。
    標高が少し高い拠点。今しがた吹いた少々強めの風には色んなものが焼け焦げた臭いがまだ混じっている。
    その直後、ふと目の前にふよふよと近づく者があった。風に遊ばれ忙しく翅をバタつかせる一匹の白い蝶。俺は何となく腕を伸ばしてみる。すると蝶はグローブの指先にピタリと停まった。ーー中々飛び立たないので十数秒間の後にフッと息を吹きかけて遠ざける。蝶が空に混じって消えるを見つめて、戦火に巻き込まれなかったのを安堵してやる。一応、俺の背にもあの生き物と同じ様な翅があるからか、ちょっとした情けだ。

    とは言ってもーー自分自身、こんな姿(なり)をしているが…

    俺は正直、蝶々(この生き物)が好きじゃない。


    胡蝶の夢

    「わぁ!ねぇ見て****!チョウチョだよ!可愛いねぇ!」
    気付くとそこにいた、目の前の丸いピンクの相棒の周りをふよふよと舞うそれ。相棒は短い腕をうんと伸ばす。蝶にとってその腕は丁度都合よく現れた止まり木だったようで、ピタリと止まって羽根休めを始めた。相棒は蝶を驚かさないようヒソヒソと俺に語りかけた。
    「綺麗な翅〜!小さくて、飛び方も可愛くて、見ていてホッコリしちゃうねぇ」
    幸せそうに微笑んでそう言う相棒に俺はムッとした。ポッと出てきた奴をベタ褒めされて、いつも一緒にいる俺は褒められた事が無いと気付いたのだ。気に入らない。
    「暖かい春のお日様の下で、素敵なお花畑の上を自由に飛び回って。お花の蜜って甘くて美味しいのかなぁ?とびきり甘い蜜の綺麗なお花探しも楽しそう!あ〜僕もチョウチョになってみたいなぁ」
    最後の言葉に俺は我慢出来なくなった。身体を捻ってヒュッと小さく風を起こし、休んでいる蝶に投げつけてやると、蝶は成す術なく風に攫われ俺達から遠ざかった。相棒は「あっ」と声を上げて止まり木にされていた腕を残念そうに下ろして俺を見る。
    「意地悪しちゃダメだよ。折角僕の手の上で気持ち良さそうに休んでたのに…って、いたっ!」
    俺はすべすべピンクの頭を軽く打った。言葉を話せないから、そんな風にしか訴える事ができない。
    「何でぶったの!?……****?ねぇ、怒ってるの?」
    ああ、そうだよ。怒ってる。
    蝶になりたいだなんて言わないでくれ。お前に翅が生えたら俺はどうなる?お前を背に乗せて空を飛び、お前と一緒に戦ってきた俺はどうなる?お役御免か??もう俺と飛ぶ必要が無くなるもんな。
    そんな風に本当は思ったことをそのまんま吐き出してぶつけてやりたいけれど、生憎俺には口がない。言葉を紡ぐ代わりにただただ身体を回転させて相棒の周りを騒がしく飛び回った。
    「……もしかして、僕がチョウチョを褒めたから怒ってるの」
    そうだよ。俺はお前にそんな風に誉めてもらったことなんて無い。生まれた時からずっと傍に居るのに。誰よりも長い時間お前と一緒に居るのに。
    自身の問いに俺が肯定したのを察したのか、相棒は焦って弁解した。
    「チョウチョはチョウチョだよ!君は君!君とチョウチョは全然違うじゃないか。君はチョウチョと違って、僕を乗せて飛んでくれるし。チョウチョと違って、宇宙を物凄いスピードで飛べるんだよ。かっこいい、僕の自慢の相棒だよ!僕といつも一緒に居てくれて、一緒に戦ってくれるんだもん、全然別…君の事大好きで、これからだってずっと一緒で…誰よりも特別なんだよ?」
    わかった?と俺を見上げて困ったような照れたような表情でそう言った。
    俺は早くも一番欲しかった言葉をもらう事ができて、ぎゅっと密度と熱が上がったオーラを纏って相棒の身体もとい顔面に勢い良く突っ込んでしまった(俺的には目一杯のビッグハグだ)。なので変な呻き声が聞こえたけれど、構わずそのまま寄り添った。
    「君って意外と、ヤキモチ屋さんなんだね?」
    仕方ないなぁ〜と呟きながら相棒は短い腕で俺を抱きしめてくれた。温かくて柔らかくて、とにかく幸せだった。


    そんな平凡で幸せな場面で毎回俺は目を覚ます。この夢を毎晩ではないにしろ、繰り返し何度も見るのだ。あまりにも鮮明に現実だと錯覚するほど、胸の温かさをそのままに。そして今の自分の背に、夢の中の相棒を魅了した憎たらしい一対の翅が悠々と生えている。朝日を受けて蒼く煌めく鱗粉が宙を泳ぐ様子を見て酷な現実に引き戻されるのだ。
    「何で、よりによってこの翅なんだ…」
    俺の翅は生まれた時からこの背に有った。だがこの夢を見るようになってからは、盛大なため息を吐きつつこの言葉を何度言ったかわからない。
    戦士団イチの素早さを誇る俺だが、攻撃力はあまり高くはない。けれど翅の特性を使いこなせば、何百匹の魔獣の大群だろうと俺の周りは直ぐに死骸の山だ。朝イチの文句は言いつつも、そのくらい役に立つ翅であるのは相違ない。

    羽ばたき一つ。
    舞い散る鱗粉は身体の感覚が麻痺する。呼吸を拒み苦しませる毒にも、痛みを感じなくさせ眠りを誘う麻酔にもなる。
    羽ばたき二つ。
    翅を震わせ響く音は全身の自由を奪う。平衡感覚を失わせ、洗脳・催眠状態にもできる。幻聴や幻覚を与えることも容易い。

    動きが鈍くなったところを背後へ瞬間移動して急所を裂く。或いは催眠状態になった敵同士で相打ちさせる。自害させるでもいい。いずれにせよ、敵は何もわからぬまま命を落とす。

    お陰でほぼ無敵と言っていい俺は団員達から【青い死神】と呼ばれるようになった。味方であっても恐怖は植え付けられる。そういうことだ。
    ナイトメアを倒すという目的を果たそうとすればするほど、集団の中に身を置いていても自身が孤立していくのを自覚していた。

    ずっと、あの幸せな夢の中にいる事が出来たら。いや、あんなにリアルに感じられるのだ。もしかしたらあちらの…ピンクのあの子がいる世界が現実で、喋れない俺の方が翅を生やしてこの大戦真っ只中飛び交う夢を見ているのでは?

    そうであってくれれば。
    少し前までは毎日のようにそう望んだ時期もあった。
    けれどーーーー

    「あ、いたいた。モルゥ〜〜〜!」
    「!……ギャラ、」

    団旗が風に踊らされる音に混じって、俺の名前を呼ぶ声に現実世界へ意識を戻す。見下ろす先には純白の翼と十字に切られた覗き穴の特徴的な仮面。

    ギャラクティックナイト。
    銀河最強と言われている星の戦士。

    俺が【ほぼ】無敵な理由の一つでもある。現状、生物で唯一コイツにだけ俺の鱗粉も鱗波も全く効かないのだ。挙句俺が技を発動すると目を輝かせて喜ぶ変態ときた。曰く、鱗粉がキラキラして星みたいで綺麗なんだとか。更に驚く事に、鱗波音がとてもお気に入りらしいのだ。透き通るような、素敵な音だと。初めてそう言われた時は随分と驚いたし、ドン引きしたのは今でもよく憶えている。

    ギャラクティックナイトはゴツい装甲に似合わぬ足取りで走ってきた。俺の姿を捉えた瞬間、自身で飛べるのを忘れたかのように短い足をパタパタと忙しく動かしている。

    「私の小隊、休憩に入ったから遊びに来たよ!」

    お話しよう!と、茶請け代わりのマキシムトマト(小隊ごとに支給される食料の一つをこっそり拝借して来たのだろう)を掲げながら随分機嫌の良い足取りで団旗の下まで来て、その天辺に停まっている俺を見上げた。

    「ーー飛んでこっちに来ればいいだろう。何のための翼だ」
    「はぁ?私がそっち行っても揶揄うだろお前!寄ったら姿消して逃げるか、それか背後にずぅ〜っと付いてまわるか…解ってるんだぞ。だからお前からこっちに降りて来て」
    「ーはっ!つまらん奴だなぁ」

    今までのちょっとした悪戯心で積み重ねた前科があるので、しっかり手の内を読まれていた俺は笑ってしまった。ギャラクティックナイトはトマトで塞がってない方の腕を俺の方へ目一杯伸ばして俺が来るのを待っている。俺はその姿を、どこかで観た憶えがあった。

    何だったろうな、と考えながら俺はいつもの様にスッと姿を消して伸ばされた手の目の前に瞬間移動をする。来てやったぞ言う代わりにギャラクティックナイトの掌をポンと軽く叩いてやった。すると紅い眼を細めてクスクスと笑い始めたので俺は顔を顰めて軽く睨む。
    「何笑ってる?」
    「ふふっ…すまない。いつも中々お前を捕まえられないから、今日はすっごくラッキーだなって」
    「…言ってろ」

    こんな事で喜べる辺り、やはり変わった奴だと思う。表情は仮面の所為でちゃんと判らないが、十字の奥で輝いてる眼は大層嬉しそうなのは見て取れた。その瞬間に、先の既視感の答えがピッタリと自分の中で当て嵌まった。

    夢の中の俺が、「相棒」と呼んでいるあの子だ。

    「……(そういえば、コイツも体色がピンクなんだよな。あの子よりちょっと鮮やかだが)」

    角も羽もあるからそんなに外見が似てる訳ではない。けれど不思議な事に、コイツと一緒に居る時には、夢の中であの子が俺に与えてくれる温かさに似たものを感じるのだ。単に隣合って座り他愛の無い会話をするだけなのに、それすらもいつの間にか俺にとっては密かに大切な時間になっていた。それくらいコイツの、ーーーギャラクティックナイトの傍は居心地が良かった。
    「(…まぁ、直接言おうとは思わないが)」
    「!あ、今…」
    「どうした?」
    「今一瞬、いつもよりお前の翅音がね、ちょっと高くて…あと、なんか楽しそうに弾けるみたいな。ん〜〜……もしかしてモル、今結構ご機嫌?」
    「っ!?!?……ぃ、や、…べつに」
    「あれ、違った?あはは、じゃあ気のせいか」


    深く突っ込まれずに済んだが、正直俺の心臓はその時随分忙しなく音を刻んでいた。俺にとっては翅音よりもこっちのが心配になるレベルで煩かった。

    「……(コイツには、案外感覚的にバレているのかもしれないな…)」


    夢か現(うつつ)か。
    現か夢か。
    今はどちらがどちらでも構わない。
    春の陽気を思わせるそれが、等しく俺の傍にあるのだから。



    胡蝶の夢(完)



    ティンクルスター視点の記憶を繰り返し夢に見るモルフォナイト
    フレ→ポポに見せかけてティンクルスター→ポポポなモルフォ(後のバルフレイ)→ギャラ

    ついでに言うと後々に仮面オフのギャラさんを予期せぬタイミングで初見して夢の中の子と顔まで酷似してるしそれ抜きにしてもめちゃ可愛いしで普段のギャップ萌えも相まってドチャクソ動揺して心拍数最多記録更新する。
    (更に追々ギャラさん大好き指数がカンスト(?)してしまうモルフォさんが出来上がります、めでたしめでたし)
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