被害者と加害者の部屋 俺は人嫌いだ。
普段はファンサービスだなんだと言って大勢のファンと接しているが、正直あんなゴミどもの相手をするのは辟易とするし、仕事でなければ目にも入れたくない。チヤホヤされるから続けられているようなものだ。
「ただいまー・・・」
仕事から帰って玄関のドアを開ける。電気もついてない暗い廊下に俺の声が響いた。それも当然。この家には俺以外誰もいないのだ。仕事への移動時間を短縮するためだけに購入したマンションの一室は、俺以外出入りする者はいない。
昔っから人懐っこいほうではなかった。家族がバラバラになってからは、さらにそれが加速しているように感じる。
ミハエルと兄貴、そしてトロン。
出来ることなら家族以外の誰とも関わりたくない、話したくない、触れたくない。
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