100日後にくっつくいちじろ22日目
「兄ちゃん」
甘ったれた声で二郎が自分を呼ぶ。
もう冬も直前の秋だというのに、やけに蒸し暑い。一郎は額に汗をかいていた。気付けばそこは一郎の自室で、でも何故かベッドしかない。デスクもクローゼットも窓すらなくなっていて殺風景だ。ただいつも寝ているベッドがひとつあるだけで、その上に自分は横たわっている。
そういえば声がしたけれど二郎はどこにいるのだろう。ふと、天井に向けていた視線を腹の方に落とすと、一郎の腹の上にうつ伏せて乗り上げてる二郎がいた。重さは感じない。
「暑いね。今日」
目が合うと二郎はリラックスした表情で笑った。
ん、と鼻から抜けるような声で相槌を打ちながら一郎は弟の頭をゆったりと撫でる。ぴょんと跳ねる髪が指の間をくすぐった。
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