部屋に入ると、飛び込んできた光景に目を疑った。ぴたりと歩みが止まる。荼毘は眠っていた。ホークスが仕事をする机の足元、床に寝そべるように、膝を折り曲げて。なんでこんなところで……
「おい――」
起こしてやろうと口を開いたその時、ホークスは見てしまった。額を預け、枕の代わりになっているその腕の先――椅子の足に、遠慮がちに置かれた左手を。
どくんと心臓が跳ねる。この状況は一体なんだ? 当てつけか? 嫌がらせ? また試されているのか? さっさと起こしてやろうと思うのに、身体が縛り付けられたように動かない。今の今までDomとして振舞っていたというのに、欲求は収まるどころか疼き出し、自然と昨夜の熱を呼び起こす。やめろ。やめろ。あれは事故だ。
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