とーはじゅ「周りの目も気にしないで、自由に生きられる夏準さんにはわかんないって」
思わず口から滑り出た言葉に、夏準さんの目が見開かれるのを確かに見た。咄嗟に顔を逸し、しまったと思うと一気に汗が滲み出る。夏準さんは俺のことを思って、好きにしたらいいと言ってくれたのに、こんなんただの八つ当たりだ。
今までこんなことはなかった。誰かに何かを言われても受け流せた。それなのにどうして、よりによって夏準さんの前で出てしまったのだろう。嫌われたらどうしよう、呆れられたらどうしようと心臓が騒いで止まらない。
「斗真」
聞こえてきた声に驚いて肩が跳ねる。怒られる前に、嫌われる前に、別れ話をされる前に、無かったことにしないと。一刻も早く。夏準さんの目を見ないようにしながらきゅっと口元を上げて言った。
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