ハッピーバースデー! ※関卍謎時空。
今日はマイキーの誕生日だ。マイキーを祝わなければならない。
というか一週間くらい前から誕生日を祝い続けてもいいくらいだったが、それは前にやったときウザがられたのでやめた。
春千夜はマイキーの忠実な部下だった。
関東卍會は他のチームを吸収し、拡大を続けていた。そんななか、夏を迎えた。
今年の夏は猛暑で皆バテ始めていた。
「ハッピーバースデー、マイキー」
「ありがとう」
マイキーへのプレゼントは赤いバラの花束だ。マイキーは花束を受け取ると氷が溶けるみたいに微笑んだ。驚いた。喜ばれるかは微妙だったためだ。
「はい、返す」
「えっ。たい焼きがよかったか」
花束を返された。やはりよくなかったのだろうか。笑える程暑いだけだったのかもしれない。
「持って帰って部屋に飾っておけ。見に行くからな」
「はい。いい花瓶買っときます」
これは計画通り。花瓶はもう買ってあるのだった。
◇
数日前。
暑さにやられて床で寝ているヒラ隊員たちを蹴飛ばして道をあけながら、春千夜と九井は関東卍會のアジトの部屋に入った。
冷房の効いた部屋に入る前から春千夜と九井は涼しげにしていた。クールな男に暑さは関係ないのだった。
春千夜は暑苦しい男たちをみて嫌な顔をした。
「オマエら邪魔だからとっとと帰れ。あと通り道くらいあけろ」
「すいませんでした」
今日は九井に用がある。
「オマエに聞きたいことがある」
「何、情報料十万だけど」
「そんな金ねえ」
「じゃあ一万でいい」
しぶしぶ、財布から一万円札を取り出し九井に渡す。九井は一万円札になどさして興味なさそうに、ただの紙みたいに受け取った。
「マイキーの誕生日プレゼントは何がいいと思う」
「何故オレに聞く」
「センスありそうだし、金持ってるし」
「何でもいい、オマエがあげたいものを贈っとけ」
「敵対勢力のボスの首をカワイイ箱に入れて」
「可愛くねえし、夏場にそんなもんもらっても迷惑でしかない」
もらった人の気持ちを考えろ、これはいいアドバイスなのかもしれない。
「ありがとな」
春千夜が素直に感謝すると九井は意外そうに笑って、一万円札を返してきた。
「なんでも相談されるようになったらウザイから言っただけだから返してやるよ。マイキーへのプレゼント買う金が必要だろ」
「助かる」