Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    ほむら

    @rietokota

    SD右花メインの小説置き場です。
    X(Twitter)にも同じのあげてます。
    スタンプもらえるとやるきでます!ありがとうございます♡

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 49

    ほむら

    ☆quiet follow

    以前Twitterにあげていた花←洋←三のお話を加筆修正してポイピクに上げました。⚠️携帯とか出てきます。
    もう何話か続きます。長いです。

    惰性1Episode1

    それは突然目の前に現れた 目が醒めるような【赤】だった

    まだ幼さの残る顔にリーゼント、小さい体。
    この辺で「水戸洋平」といえば喧嘩上等君としてそこそこ有名で、何かしら誰かしらからくだらないことや理不尽なことで絡まれるのが日常。
    本人的には不良をしている気はさらさらない。
    カッコいいと思うスタイルが不良のそれで、好きなバイクもそう。
    ただ好きなことをやっているだけなのに絡まれてケンカ三昧の日々。
    身体能力が高いのか、はたまたケンカのセンスがあったのか、今のところ百戦錬磨。
    そのせいで望んでいないケンカにしょっちゅう巻き込まれてしまう。
    今日の相手は最悪で3月に中学を卒業したクソ先輩どもが徒党を組んでお礼参りにきた。
    「よぉ、水戸。中2になっても相変わらずムカつく顔してんな」
    「センパイこそ高校生になっても相変わらず暇っすね。そんなにオレのこと好きなの?くだらねーことしてねぇで青春でも謳歌してろよ」
    「おまえには色々世話になってるからなぁ。きちんとお返ししねーと」
    はぁ、ほんとめんどくせー
    大きなため息を1つ。
    それと同時に周りを囲まれた。
    6人か…
    喧嘩が強いとはいえフィジカル的には不利。
    1人で自分より体の大きい高校生6人を相手するのはさすがに骨が折れる。
    最初は優勢だった水戸も6人相手に徐々に不利になっていった。
    ハァハァ…
    肩で息をする。
    3人はどうにか沈めた。
    あと半分。
    拳は腫れてもう感覚がない。
    疲労で足も上がらない。
    「気抜いてんじゃねーぞ、おらぁ!」
    一瞬気を抜いた瞬間相手の飛び蹴りが入り後ろに飛ばされ倒れた。
    マウントを取られ絶体絶命。
    くっそ…これはさすがにヤバい。

    「おまえこれ1人でやったんか?」

    声のする方を見ると自分と同じ制服を着た真っ赤な髪の男。
    コイツ、知ってる。
    こんな頭してたら有名にもなる。
    桜木花道、4月に来た隣のクラスの転校生。
    「オイコラ、なんだオマエ!」
    桜木のその見た目がクソ先輩達をイラつかせたようだ。
    「中坊1人相手に6人とはおまえらクソだな」
    「あぁ!?偉そーなこと言ってんじゃねぇぞ、赤頭!」
    「オレは天才だからエライんだよ、マヌケくんども」
    「ふざけやがって…」
    あっという間だった。
    殴りかかったやつが宙を舞う。
    「あ、わりぃ。殴りかかってきたから蹴っちまった」
    「ああいいぜ、そいつが悪い」
    「だよな」
    見た目に似合わない可愛い笑顔のお前にオレは一瞬で堕ちたんだ。

    高校に入学してしばらくした頃花道はバスケと出会った。
    当初は「バスケットはお好きですか?」と声をかけてきた花道のタイプドストライクなハルコちゃんに好かれるために始めたのだが、今じゃ花道の生活の一部というより生活のほとんどを占めている。
    あいつはずっと何か足りないもんを埋めるようにケンカをしていた。
    だから熱中できる『何か』を見つけてからはすごく輝いている。
    バスケを始める前は毎日毎日朝から夜まで一緒に過ごしていたのに、今はバスケとその仲間に花道との時間を奪われている。
    でもまぁあいつが幸せならそれでいい。
    今まで見たことない充実した顔が見れるのは嬉しいことで、あいつのことを出来る限りサポートしてやりたい。
    「よーへー!」
    今日もバイトまでの時間、花道のバスケを見学に来た。
    そのうち大楠、野間、高宮も来るだろう。
    なんだかんだオレ達は花道の家族みたいなもんだから、花道が真剣に取り組んでいることは全力で応援したいと全員が思っている。
    嬉しそうに駆け寄ってくる花道が本当に可愛くてそれだけでも見に来た甲斐があるってもんだ。
    「バイトまで見てくぜ」
    「おう!天才のプレー見逃すなよ!」
    そういって練習に戻って行った。

    IH予選を控えた初夏のある午後、退屈な社会の授業をサボって屋上でうとうとしていたら突然大きな影に覆われた。
    目を開けると花道。
    「おぉ、どうした?おまえもサボりか?」
    うんと頷く。
    でもいつもと違うその態度に違和感を感じて体を起こす。
    「どーした?何かあった?」
    花道とは長い時間一緒に過ごしてきたから少しの変化だって見逃さない。
    「よーへーに相談が…」
    言いにくそうにモジモジしながら
    「好きなヤツが…できたかも、しれん」
    あー…そういう話。
    オレはもうずっと前から気づいてたよ。
    好きな『子』ではなく好きな『ヤツ』
    もうアイツしかいねーじゃん。
    最近花道の視線のその先にいるヤツ
    流川楓
    オレは気づいてたよ最初から。
    この屋上で花道が流川と初めて対面した時、おまえが今まで見たことない目をしたんだ。
    最初それが何だかわからなかったけどおまえのバスケ毎日見てたらわかる。
    おまえの先にはいつも流川がいて、おまえはその背中をいつも追っていた。
    憧れと嫉妬、羨望
    そして
    恋慕
    そんな顔でおまえは流川を見てた。
    「誰?」
    聞きたくない、知りたくない、好きな人の想い人の名前なんて。
    しかもオレと同じ男なのだから。
    なぁ花道、だったらオレに想いを寄せてくれてもいいじゃないか。
    こんなに毎日傍にいてこんなにおまえのこと想っているんだから。
    自分勝手な汚い欲望が次から次へと湧いてくる。
    でもそんなこと口が裂けても言えない。
    花道の一番になれないのなら少なくとも親友として傍にいたい。
    今のこの関係性だけは壊したくない。
    だから
    耐えろ
    苦しい気持ちを抑え平静を装う。
    「あの、言いにくいんだけど…」
    「オレと花道の仲に秘密はナシだろ」
    自分は花道への想いを心の奥底に秘めているというのに
    なんて都合のいい言葉。
    そして平気な顔をしておまえが話しやすいように笑顔を浮かべ、その先を促すんだ。

    ルカワ

    ほらやっぱり
    思った通りじゃん
    オレがどんだけおまえのこと見てると思ってんの?
    初めておまえを見て恋に堕ちてから毎日おまえのことしか見てないし想っていない。
    オレの目にはおまえしか映ってない。
    おまえが何十回と女子に告白しても平気だったのはさ、おまえが本気じゃないって知ってたから。
    例え付き合ったとしてもすぐに奪い返せるくらいおまえの気持ちが浅かったから。
    でもこれは、
    今回は。
    おまえの流川を見る視線の熱量を知ってる。
    そして流川がおまえに送る視線もまた、おまえと同じそれだから。
    オレに勝ち目なんてないじゃん。
    心臓が押し潰される。
    苦しい、
    苦しいよ花道。

    結局その後すぐに流川が花道に想いを伝えてきたらしく2人は晴れて恋人同士となった。
    花道いわく流川との関係はオレしか知らないらしい。
    2人の態度はあからさまだから周囲も気づいてると思うけど。
    そんな2人を見るのがキツくて以前よりバイトの日数増やしてなるべくバスケ部と関わるのを避けるようになった。
    「よーへー最近忙しいのか?」
    「練習見に行けなくてわりーな、花道。IH予選は絶対見に行くからさ」
    「絶対だぞ!」
    「おう」

    今日だってほら。
    おまえのその声と笑顔とオレへの絶対的信頼に安心して
    花道が手に入らないという現実に絶望するんだ。


    花道がケガをした。
    IHの山王戦でルーズボールを拾うため関係者席に突っ込んだ時に負ったケガ。
    治療とリハビリを続ければバスケも前みたいにできるようになるとのことで、オレ含め花道と関係のある全員が安堵した。
    家族のいない花道の入院生活の手伝いをオレを中心に、どうしてもオレの都合がつかない時は通称『桜木軍団』と呼ばれている大楠、野間、高宮で持ち回りでやっている。
    「毎日わりーな、よーへー」
    「気にすんな。どーせ暇人だし」
    こうして花道のために何かできることが嬉しい。
    それに病院なら花道とゆっくり2人で過ごせる。
    「それより背中の痛みはどうだ?」
    優しく背中を撫でる。
    「まだ多少いたむ…」
    ケガを負った当初はもうバスケができないかもしれないとすごく落ち込んでいたが、1ヶ月経った今ではリハビリが始まったからか物事をポジティブに考えられるようになったようだ。
    「ミッチーがよ、絶対ムリすんなって」
    「あの人も大変な思いしてるからな」
    「おう。心配してしょっちゅう連絡くる」
    バスケ部のメンバーは部活がない日や早く終わる土曜日などによく見舞いに来てくれる。
    花道はそれが嬉しいみたいで週末が近づくと見ていてわかるくらいウキウキしている。
    赤木さんと木暮さんはIH終了後引退したので平日もたまに顔を出してくれる。
    花道は本当にみんなから愛されてるな。
    流川は全日本チームに招集され見舞いには来れないが連絡はちょくちょく取っているみたいだ。
    流川から連絡が来た日はいつも以上にご機嫌な花道にイラッとするけど、でも今花道の傍にいるのは流川ではなく自分なんだからと言い聞かせてどうにか乗り切っている。

    そんな日々が続いたある土曜日の朝
    洗濯物を持って病院に来たら花道の姿が見えない。
    朝の散歩か?と病室の窓から見える海岸に目をやると花道とその隣に見慣れたシルエット。
    流川だ。
    なんでアイツがここにいるんだよ…今全日本じゃねーのか!?
    嫉妬で体が熱くなるのがわかる。
    「!」
    遠目でもわかった。
    花道と流川の唇が重なった。
    そんな距離感だった。
    毎日花道の世話をしたところでオレは心も体もあの距離までは近づけない。
    そんなのはあの日から、花道と流川がそういう関係になった日から嫌というほどわかっていたつもりだった。
    でも目の当たりにするととてもじゃないけど耐えられない。
    くそっ!
    花道の傍にいるのはおまえじゃなくいつだってオレなのに。
    花道の心の中にいるのはオレではなくいつだっておまえなんだ。

    「水戸?」

    名前を呼ばれて驚いて後ろを向くと三井さんが立っていた。
    「何度か呼んだんだけど…」
    「あ…ごめん、気づかなかった」
    三井さんがオレがさっきまで見ていた窓の外に目を向ける。
    「流川…今日合宿から帰ってくるって言ってたな。直で来たのか」
    そりゃ恋人に会いたいもんな、なんて。オレの気も知らないで余計な一言を付け加える。
    「花道多分まだまだ戻ってこねーよ」
    「だろうな。流川に会うのも久しぶりだしな」
    どーせ暇だから待つわ、と病室に備え付けのパイプ椅子に腰掛ける。
    他愛のない話をしていたが、次第に話もつきかけた頃
    「水戸はさ…桜木が好きなのかよ…?」
    急な展開に心臓が跳ねた。
    「はっ…?何、急に?」
    「さっき窓から桜木と流川見てるときのおまえの顔、すごかったから…」
    「だったら何?」
    「いや…」
    オレがイラついているせいか重い沈黙が流れる。
    「オレ…じゃ、ダメか?」
    続いた言葉に驚いて三井さんを見ると顔を赤くして俯いている。
    「何、同情?」
    「同情なんかじゃねーよ!オレはあん時から…おまえがオレを庇ってくれた時から…好き、だった」
    ほんと急に何を言い出すんだか、この人は。
    花道の代わりなんているわけねーだろ。
    確かに三井さんはいい人だし花道の大好きな先輩だけど、この人と付き合うっていう選択肢はオレの中にはない。
    「わりぃけど。オレ花道以外考えられねーし、花道以外と付き合うなら女がいい」
    三井さんが真剣にオレに告白してくれただろうことはわかっている。
    冗談でこんなこと言える人じゃないことも、短いけど濃い付き合いの中で理解しているつもり。
    でもここで、花道の匂いのするこの部屋でそんなこと言われて正直少しイラッとしてしまったのも事実で。
    三井さんは何も悪くないのにわざとキツい言葉を選んでその気持ちを一蹴した。
    瞬間三井さんの顔が曇ったのがわかった。
    「だ…よな、ごめんこんな時に」
    なんだよ、『こんな時に』って。こんな時ってどんな時だよ?
    流川が花道に会いに来た今日ってこと?それとも久々に会った恋人同士がキスしてるところを、バカみたいに片想いしてるオレが見ちゃったさっきってこと?

    「み、っ!?」

    気づいたら三井さんの顔を押さえて無理矢理キスして舌をぶち込んでた。
    驚いて固まってる三井さんの口内をこれでもかってくらい犯して。
    唇を離すと無理矢理キスされたのにトロンとした顔して、なんなら下半身半勃ちになっている。
    「ねぇ、三井さんはさムリヤリされるの好きなの?こここんなになってる」
    三井さんの膨らんだ中心に手を伸ばして服の上からぐっと掴む。
    「んあっ…」
    いやらしい声が漏れる。
    「ねぇ、オレと付き合うって事はさこーゆうこともすんだよ?オレはどうしたって花道のことしか考えらんねぇから。三井さんのこと想いながらキスもセックスもできねぇ。頭ん中ずっと花道なの。アンタはただのオレの欲求の吐き出し口になる。そんなオレのこと受け入れられる?」
    自分に好意を寄せてくれている人に本当に酷いこと言っているって自覚している。
    三井さんが優しいのをいいことに今まで心の奥底に溜めに溜めていた汚い感情が溢れてきて止まらない。
    こんなこと言いたいわけじゃねーのに。

    「お!ミッチーじゃねーか」

    花道の声にオレも三井さんもハッとする。
    頭に血が上りすぎて花道の足音に気づかなかった。
    「お、おう!おめー三井さんが来てやったのにどこ行ってたんだよ?」
    「さ、散歩してた…」
    見てわかるくらい顔を赤くして、なんなら少し流川の香りを纏って。
    そんな短時間で相手の匂いを纏ってくるくらい近くにいたってことかよ?
    「桜木が来るのおせーからトイレ行きたくなっちまったわ」
    そういってトイレに逃げた三井さん。
    三井さんがいなくなったのを確認して
    「流川が会いに来てくれた」
    嬉しそうな顔でオレにそんなことを報告してくる。
    そんなこと話せるのオレしかいないもんな。
    惚気話は誰かにしたくなるってのが人の性だろ。
    だからオレも取り繕って平然と話を合わせる。
    「そっか、良かったじゃん。合宿終わったって?」
    「ん、今朝帰ってきたって」
    早くアイツとバスケしてぇ、って。
    そんな愛の告白みたいなことオレの前でしないでくれ、花道。
    心臓がキュッと締め付けられる。


    「!」
    トイレで吐いた。
    嘔吐したせいなのか、それとも水戸がオレにした行為のせいなのか、または水戸の言葉のせいなのか
    涙が止まらない。
    水戸が桜木しか見ていないのなんて最初からわかっていた。
    バスケ部襲撃事件の時だってオレを庇ったというよりは桜木にとって何がベストかを考えた結果、水戸はあの対応を取ったのだ。
    桜木と流川が付き合い始めたであろうことは2人を見ていたらすぐにわかる。
    その頃から水戸はあまり体育館に足を運ばなくなった。
    オレは水戸のことをずっと見ていたから水戸が桜木のことをどう想っているのか痛いくらいわかっていたし、どうして体育館に来なくなったのかも自分なりに理解していた。
    桜木の代わりでもいい、水戸の気持ちが楽になるなら
    そう思って自分の想いを伝えてはみたものの、オレなんかじゃ桜木の代わりにすらなれねぇ。
    悔しさ、哀しさ、情けなさ、
    負の感情が心の中を支配する。
    それからどうやって帰宅したかはあまりよく覚えていない。
    病室に戻ってからはうまく立ち回れていたと思う。
    確か帰り際水戸から「花道三井さんのこと大好きだからさ、また見舞いに来てやってよ」って言われた気がする。
    自室のベッドに座って悶々と考えていると電話が鳴った。
    画面を見ると水戸からだ。
    恐る恐る電話に出る。
    「は…い」
    「三井さん?水戸だけど」
    「お、おう…」
    「これから会える?」
    これから?時計を見ると9時を回っていた。
    「今三井さんちの近くの公園にいる。来れる?」
    「…わかった」
    ​あんな酷いことを言われて強引にキスされて。
    でも『会いたい』なんて言われたら会いたくなってしまうのは惚れた側の弱みなのかもしれない。
    家から5分くらいのところにある公園まで急ぐ。
    本当バカだなと自嘲する。
    あんなこと言われても、あんな酷いことされても、水戸に会えると思ったらこんなに胸が弾むなんて。
    公園に着くと水戸がベンチに座ってタバコを吸っていた。
    「水戸…」
    「あ、三井さん。ごめんね、呼び出して」
    病院で見た時とは大違いな優しい顔。
    そんな顔にドキッと胸が高鳴る。
    「はい」
    水戸からペットボトルのお茶を渡される。
    「お、サンキュ」
    ベンチに座りしばしの沈黙の後
    「今日は本当ごめん」
    水戸からの謝罪。
    「花道が流川に会ってるの見てちょっと正気失ってた」
    はぁ、と水戸が大きなため息を吐く。
    「オレさ、花道のことになると正気保てなくなるくらいあいつのこと好き」
    つらつらと、今までずっと誰にも話せず心の奥底に閉じ込めていた気持ちが涙と共に溢れてくる。
    「花道の一番傍にいるのはずっとオレなのに、花道との距離が全然埋まらないんだ」
    「うん」
    今のオレがそうだよ、水戸。
    「花道が嬉しそうに流川の話してくんの、オレに。オレがどんだけ花道のこと好きか知らねーから。その度心臓握り潰されるくらい苦しくて…」
    それを今日三井さんにぶつけた。
    傷つけてごめんなさい。
    そう謝罪する水戸がとてつもなく愛おしくて思わず抱きしめた。
    「そういうの全部オレにぶつけりゃいいじゃん」
    「三井さん?」
    「桜木の代わりにはなれねーけど愚痴聞いたりはできるし、オレはおまえといられたらそれだけで嬉しいからよ」
    「…あんた本当バカだね、お人好しすぎる」
    「それが三井寿だからしょうがねーだろ?」
    ふっ、と諦めたように水戸が笑う。
    「とにかくツライことがあったらオレに話せばいい。それだけでも少しは楽になんだろ」
    「うん」

    これから先桜木のことで何かあれば水戸はオレを頼ってくるだろう。
    他にこんな話できるヤツ周りにはいねーだろうし。
    水戸がオレに対して何の感情も持っていないとしても、自分を頼ってくれるのならそれだけで嬉しい。
    例え水戸の目にオレが映っていなくても
    オレの向こうに桜木を見ていても
    水戸の一番傍にいるのはこのオレなのだから。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭
    Let's send reactions!
    Replies from the creator