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    北 区

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    北 区

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    サン武ホストパロ
    名前ありのモブとかでます。
    書きかけです

    設定とか細かく決めてないですけど、今のところ出てくる3人は
    マイキーくんがNo.1で
    場地さんはホスト上がって内勤してる
    アッくんは同期
    設定です

    夜の街、歌舞伎町。ここでは国籍性別問わず、人々が集まってくる。

    俺、花垣武道はとある職業に憧れこの街に辿り着いた。
    それは、男なら一度は憧れたことのある職業、ホストだ。

    いろんな女の子にモテたい。貢がれたい。あわよくばかわいい子とエッチもたくさんしたい!そんな下心丸出しで楽観的に考えた俺はホストを目指した。

    しかし、現実はどうだろうか。
    毎日初回の女の子に品定めをされ、ひどい時には顔がタイプじゃないからと名刺を破かれた。
    送り指名すら取れず、せめてヘルプの席では…と意気込んで盛り上げようとするが空気が読めず姫と先輩を怒らせてばかり。
    俺を可愛がってくれる数少ない先輩にはこの仕事は向いていないんじゃないかと苦言を呈されていた。

    そんな俺は今日も今日とて、早めに出勤してフロアの掃除。
    同伴して掃除を免れてみたいな…なんて床を磨きながらぼんやりと考えていた。

    「おい、武道!ぼーっとしてんな。そこのテーブル下ろせよ!」
    「ごめん、アッくん!」

    持っていたモップを壁に立てかけ急いでソファーから丸いテーブルを下ろしていく。

    「武道さぁ…今日ユカちゃん来るんだけどヘルプつける?」
    「え!?俺でいいの?」
    「ユカちゃんが武道のこと『ホストっぽくなくてかわいい〜!』って言ってたし、ボトルもあと少しでなくなりそうだからできればペース早めで飲んでほしくてよ」
    「ははは…飲むのは任せて!」

    ホストっぽくないかぁ…
    ピカピカに磨かれた床に反射する自分を眺めた。

    先輩に服がダサいと言われ、全てお下がりでコーディネートされた自分の好みではないおしゃれな服装に、ヘアメイクさんが巻いてくれたふわふわな髪型、身長は高くないし、お世辞にもイケメンではない。トーク力もないし、気がきくわけでもない、本当に俺ホスト向いてないな。

    本日二度目のぼんやりをかましていると突然肩を叩かれた。

    「ッ」

    ぷに。
    急いで振り向くと、自分の頬に指が突き刺さっていた。

    「あははは。タケミっち引っかかってやんの」
    「え、ぁッ、ま、マイキーさん!お疲れ様です!」
    「お疲れー。最近どうよ?仕事慣れた?もうすぐ3ヶ月経つよなぁ」
    「あはは…それが…」

    言い淀んでいると、マイキーさんはニカっと笑った。

    「ま、言わなくてもだいたい聞いてるよ!お客さん0だってな!」
    「うッ…俺、クビですか…」

    こんな時間に支配人のマイキーさんが来るのは明らかにおかしかった。

    売れるホストは3ヶ月でだいたいの結果が出てくる。
    俺が売れないホスト道に片足どころか両足がずぶずぶに浸かっていることは明白だった。

    ここは東京卍クラブ。日本最大のホストクラブ。
    こんなところに在籍できたこと自体が、奇跡だったのだ。

    がっくしと肩を下げているとマイキーさんが俺の背中をばしっと叩いた

    「あー違ぇって、そんな難しい顔すんなよ。タケミっちに『お願い』があって早めにきたんだ」
    「お願い…?」
    「そう。お願い。聞いてくれる?」

    もちろん俺にはイエスしかなかった。

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    マイキーさんのお願いの内容は、幹部である三途春千夜さんのサポートであった。
    三途さんは最近太客と立て続けに切れてしまっていたらしい。
    理由は三途さんの態度があまりもひどいことだった。

    太客細客問わず態度が悪い意味で全員一定。姫のメンケアや管理もしないため匂わせや暴露でSNSが毎日燃えている。
    客同士で煽り合うのが売り上げに繋がっていたのは事実だが、姫達の心はどんどん消耗して共倒れになり現在の状態になったのである。

    「で、このスマホ渡されたんだけど…いいのか…俺が返信してしまって…」

    マイキーさんには
    「三途の姫は多少失礼なこと言っても構わねぇから練習だと思ってLINEの返信してくれる?同伴とかの予定は三途に聞かねえとわかんねえからその辺はなあなあにして誤魔化して。しつこいようだったら三途に直接アポとって取り付けて」
    と言われたがどうにも良心が痛む。
    ホストをやってる時点で良心が…と言うのもおかしいことかもしれないが、未だ客0なのでまだ申し訳ないな…と本気で思うことを自分自身はしていなかった。

    そう思うと、確かに練習なのかもしれない…。今後自分もたくさんの女の子の気持ちを搾取して大金を生み出していくことになるかもしれないのだから。

    通知が999+のついているアイコンを押して中を見る。
    61、12、8、2と未読のメッセージが大量に並んでいた。流石に61の通知は怖すぎたので2のメッセージを開いた。

    スクロールをし、やりとりの最初の時期は半年前であることを確認したのだが、違和感がすごい。
    そう、春千夜さんからのメッセージがほとんどないのだ。
    「今日行くね」という趣旨のメッセージにだけ「わかった」その一言だけが送られている。なんでこんなやつがいいのか。わからなすぎて頭を抱えた。

    未読だったメッセージには
    数日前に「春千夜くん。信じていいんだよね?」
    そして昨日に「もう無理」
    この二通だった。

    俺はこっからどうすればいいんだ!?こっからどうフォローすれば!?
    頭を抱えた。しかし、指名客0の俺を置いてくれる店のためにも、マイキーさんのためにも頑張らないとと思い、全てのメッセーに対し、闇雲にがむしゃらに、とにかく打った色々な文章を打った。

    最初は「春千夜くん急にどうしたの?」「もっと早く連絡ほしかった」「嘘つき」etc.色々なリアクションを浴びて大変だったが、姫がどう言ったら喜ぶかなど先輩にアドバイスをもらい、数日経てばだいたいコツも掴んでき、三途さんの姫とテンポよくメッセージをやりとりしていた。

    おかげさまでホストにくる女の子の気持ちなどを理解し、初めての送り指名をもらうこともできた。

    「今日は送り指名ありがとう!初めての送り指名だったから本当に嬉しかったよ!また連絡するね!」

    エレベータが閉まるまで初めて送り指名をくれた姫に熱心に手を振る。
    モニターの階が下がっていくことを確認し店に戻った。

    もう時間も閉店に差し掛かりそうで、ラスソン狙いの姫とキャストが他の卓の上をジロジロと確認していた。
    このなんとも言えないピリピリした時間が憂鬱でゲンナリしながら待機場所に戻るとすぐに内勤の場地さんが声をかけてきた。

    「花垣、戻ってきて早々悪ぃが、春千夜のとこにヘルプついてくれ」

    そういえば三途さんミーティングにもあんまり顔出さないからどんな人だったかぼんやりしてるな…と思いながら指定された席に向かった。
    するとそこには芸能人か!?と思ってしまうほどの美形の男が座っているではないか。

    このクラブの顔面偏差値のレベルはめちゃくちゃ高い。
    メッセージアプリの対応を見て、他にもイケメンがたくさんいるのになんでこんな奴がいいのかと頭を抱えたが、本人を目にしてようやく納得出来た。この顔ならなんでも許してしまうのかも知れない。

    「おい。いつまっで突っ立ってんだよ」

    三途に舌打ちをされ、自分が見惚れてしまっていたことに気づく。

    「す、すんません…!えっと、初めまして!タケミチって言います!三途さんにはいつもお世話になっています!」

    丸椅子に腰掛け、姫と三途さんのグラスを確認してお酒を準備しつつ当たり障りのない会話をする。世話になんかなった覚えはないが、後輩を可愛がる先輩エピソードは必須だ。合間にオフで姫の話をしてたと言えとマニュアルに書いてある。
    必死に姫に媚び諂い三途さんの株を上げているのに関わらず三途さんは宙を見ていて俺は愚か姫とも目線が合わない。腕も脚も組んでいて30超えても処女の女よりもガードが硬いのは明白だった。待てよ。26で童貞の俺もある意味ガードが硬いのかもしれない。

    姫とそれとなく会話をしていると、微動だにしなかった三途さんの口が突然開いた。

    「オマエ、つまんねな」
    「…え?」
    「ちょっと、春千夜くん!」
    「この女、俺の客の中じゃまともな性格してっから、愛想笑いしてくれてっけど。マジでつまんねえ」

    はああああああ!?
    いや確かに、俺はつまらないですよ!?でも、あんたなんて薬やってんのか!?ってレベルで焦点合ってねえし!俺が来て一度もしゃべってねぇよな!?なんだこいつ!!!
    と内心怒り散らかしたが、確かに姫はずっとグラスから手を離さず、困った顔をしていた。

    「すんません。空気読めなくて」

    へらっと笑って誤魔化す。
    伊達に三ヶ月も客0下積み生活を送ってない。もっと酷いことを言われたりやられたりしたのだ。
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