この拳が護るもの⑥(終) 10
元柳斎と卯ノ花、長次郎、源志郎が近付いてくる。太太とした黒眉をわずかばかり上げた元柳斎は、厳しいとも案ずるとも言える神妙な眼差しを雨緒紀たちに注いでいる。その隣の長次郎が目を丸くしながら「王途川殿、それに五番隊の皆さん、何故ここに……」と呟くと、雨緒紀はすかさず言葉を返した。
「四楓院の許可は得ている」
「厳原殿の許可は……」
今度は答えることなく、雨緒紀は居心地悪そうに目を逸らす。伏せられた視線が再びこちらへと向けられ、何かを訴えかける小さな光が闇色の瞳の奥で輝いたのを見て取った弾児郎は、収まりかけた動揺がぶり返すのを自覚しつつ、必死に口を動かした。
「お前が連れて来たのか? おれが昼間言ったこと……」
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