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    hiko_kougyoku

    @hiko_kougyoku

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    hiko_kougyoku

    DONE若やまささ+千日、逆骨
    「世のため人のため飯のため」④
    ※やまささと言い張る。
    ※捏造あり。かなり自由に書きました。
    ※名前付きのモブあり。
    世のため人のため飯のため④  4

     逆骨の霊圧を辿ろうと意識を集中させるも、それらしき気配を捕まえることは叶わなかった。そういう時に考えられるのは、何らかの理由で相手が戦闘不能になった場合――そこには死亡も含まれる――だが、老齢とはいえ、隊長格である逆骨が一般人相手に敗北するなどまずあり得ない。となると、残るは本人が意識的に霊圧を抑えている可能性か……。何故わざわざ自分を見つけにくくするようなことを、と懐疑半分、不満半分のぼやきを内心で吐きながら、長次郎は屋敷をあてもなく進む。
     なるべく使用人の目に触れないよう、人が少なそうな箇所を選んで探索するも、いかんせん数が多いのか、何度か使用人たちと鉢合わせるはめになってしまった。そのたびに長次郎は心臓を縮ませながらも人の良い笑みを浮かべ、「清顕殿を探しております」とその場しのぎの口上でやり過ごしているうちに元いた部屋から離れてゆき、広大な庭が目の前に現れた。どうやら表である門の方ではなく、敷地の裏手へと出たようだ。
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    DONE若やまささ+千日、逆骨
    「世のため人のため飯のため」①
    ※やまささと言い張る。
    ※捏造あり。かなり自由に書きました。
    ※名前付きのモブあり。
    世のため人のため飯のため①  1

     寒さが日に日に厳しさを増し、いつ雪が降ってもおかしくはないとの囁きを耳にするようになってからどのくらいの日数が経っただろうか。長かった秋が終わり、季節は冬になろうとしていた。
     日が昇ったばかりの透明な空気が、背筋をぴんと伸ばさせる。首筋を撫でる鋭さがまるで刃のようだと感じた長次郎は、そういえばここしばらく斬魄刀の手入れをしていないことを思い出した。思い立ったが吉日。長次郎は朝餉を終えた足で一番隊舎の自室へと向かい、押し入れから道具を引っ張り出すと、職務までの時間を手入れに充てるべく縁側へと座り込んだ。
     周りに人がいないことを確かめて鞘から引き抜くと、厳霊丸は光と言うには頼りない、曇り越しの淡い朝日を受けてやわらかく輝いた。慎重な手つきで柄を抜き、はばきを外しながら確かめれば、刃の表面に皮脂や汚れが付いているのが見て取れる。その向こうに眉間に皺を寄せた自分の顔が朧に映ったのを確かめると、思うところがあった長次郎はふと手を止め、刀を見つめた。
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    DONE乃武金
    「龍の刺青を持つ男」⑤(終)
    ※乃武金と言い張る。
    ※捏造多々あり。かなり自由に書きました。
    ※ いつもと違う雰囲気。
    ※名前付きのモブ有。
    ※流血描写あり。
    龍の刺青を持つ男⑤(終)  6

     電光石火の動きで金勒が迫ってくるのを確かめた乃武綱だったが、しかし次の瞬間、目の前で銀色が閃いたことに気付くと、背筋がぞわりと粟立つのを感じた。金勒が逆手で抜き出した刀を、勢いのままに下方から振り上げたのだ。
     素早い抜刀ができるという逆手持ちの利点が頭をよぎった乃武綱は、返す刀が真っすぐこちらの首を突き刺そうとしていることに気付くと、咄嗟に刀で受けとめた。目の前で小さな火花が散る。速いと思った時には金勒の姿はすでになくなっていた。開けた視界を目の当たりにし、一瞬呆けてしまった顔は直後、背中に冷たいものが走ったところで凍り付いた。
     思考ではなく勘が体を動かした。乃武綱が振り向きざまに刀を水平に構えた瞬間、刀と刀がぶつかった衝撃が掌に伝わってくる。瞬歩で背後に回り込んだ金勒の、頸動脈を狙った突きを防いだのだ。まぐれとも天運とも言える防衛を、眉を顰めることで不快感を示した金勒は、刀をくるりと回して順手に持ち替え、畳みかけるように鋭い斬撃を繰り出す。空気を震わせた、三つの金属音。牽制でしかなかったのか、それら全てが刀身に当たるだけだったものの、瞬きする間もない攻撃に産毛が立ち上がるのを感じた。
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    DONE乃武金
    「龍の刺青を持つ男」②
    ※乃武金と言い張る。
    ※捏造多々あり。かなり自由に書きました。
    ※ いつもと違う雰囲気。
    ※名前付きのモブ有。
    ※流血描写あり。
    龍の刺青を持つ男②  3

     夜の帳はとうに降り、多くの人間が寝静まった頃。普段であれば寝酒を嗜む乃武綱だったがこの時ばかりは違い、七番隊舎を出て一番隊舎へと向かっていた。
     昼間の喧騒はどこへ行ったのか、すれ違う人間どころか木々のざわめきすらも聞こえない、厳かな静謐。あると言えば自分が発する足音と、布と布が触れた時の摩擦音。夜は慣れているはずだが、この夜は苦手だ。思いつつもすっかり熱の抜けた空気が肌に染み込み、その冷たさに頭の中が緩やかに研ぎ澄まされてゆくのを実感していると、鮮明になった思考に突如桜達の顔が差し込まれ、口元を大きく歪めた。
     嫌なもんを思い出しちまった……少しでも気分を晴らそうと遠くに目をやると、ぼう、と小さな明かりが目に飛び込んできた。一番隊舎だ。乃武綱は時間が時間ということもありすでに固く閉じられた正門を通り過ぎ、漆喰の塀伝いに進んで周囲をぐるりと回りこむ。そうして裏に設えられた小さな門から敷地内へと入ると、すぐ目の前に隊舎とは別の建物が現れた。
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    DONE若やまささ+雨緒紀……他
    「痛みと慈しみ」⑤(終)
    ※雨緒紀の物語・完結編
    ※やまささと言い張る。
    ※捏造あり。かなり自由に描きました。
    ※名前付きのモブ有。
    ※途中流血・暴力描写あり。
    痛みと慈しみ⑤(終)  6

     流魂街で刀傷沙汰は避けるべきか。憎々しげに細められた目を見据えながら、雨緒紀は考える。亀之助を人質に取っているせいか市六たちが行動を起こすことはなく、一定の距離を保ちながらこちらを睨みつけてくるのみ。だがその全身から染み出すように放たれる殺気は、男たちの裡で燻るじれったさの表れであり、ぴりとした緊迫感を肌で感じながら雨緒紀は神経を研ぎ澄ましていた。
     少しの間そうしていたが、やがて痺れを切らした四角顔が吠えた。
    「卑怯だぞ!」
     なんとも子どもじみた台詞を、雨緒紀は鼻で笑って跳ね除ける。
    「お前たちに言われたくはない。さあ、長次郎を連れてくるのか? それとも、ここで斬られるか?」
     言いながら更に刃を押し付けると、亀之助はか細い声をあげながら体をこわばらせた。自らの命の手綱が他人に握られているという、絶対的な状況に愕然とし、恐怖のあまり混乱しているのか、脳の指令とは無関係に体を小刻みに震わせている。ねじり上げた腕から伝わってくる震えを押し込めようと指先に力を込めた時だった。痛みに呻いた亀之助が泣き言とばかりに漏らした声を聞いたのは。
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    DONE若やまささ+雨緒紀……他
    「痛みと慈しみ」④
    ※雨緒紀の物語・完結編
    ※やまささと言い張る。
    ※捏造あり。かなり自由に描きました。
    ※名前付きのモブ有。
    ※途中流血・暴力描写あり。
    痛みと慈しみ④  5

     死者が何かを語ることはないものの、今はその墓に向かって問いかけたい心持ちだった――長次郎はどこに行った、と。
     北流魂街七十五区に再び足を踏み入れた雨緒紀は、長次郎の霊圧を追って昨日と同じく作兵衛の墓前へと訪れていた。目に映る景色も鼻腔をくすぐる枯れ葉の匂いも何一つ変わらないはずなのに、雨緒紀の胸は凪いだ湖面のようだった昨日とは違い、燻っていた熾火の熱を思わせる静かな滾りを湛えている。その滾りが皮膚を這い上がる痺れとなり、霧散する霊圧の残滓を知覚すると、雨緒紀は自分の顔から表情が失せてゆくのを感じた。
     不自然に途絶えた霊圧は、長次郎がこの場所で消息を絶ったことを物語っていた。しかも自分の意思ではなく、誰かの手によって。ならば誰が、一体何のために? 次々と浮かび上がる新たな疑問に、いっそふもとの集落をしらみつぶしに探すかと考えていた時だった。作兵衛の墓の傍に立つクヌギの木の後ろから男が一人、顔を出したのだ。
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    DONE若やまささ+雨緒紀……他
    「痛みと慈しみ」①
    ※雨緒紀の物語・完結編
    ※やまささと言い張る。
    ※捏造あり。かなり自由に描きました。
    ※名前付きのモブ有。
    ※途中流血・暴力描写あり。
    痛みと慈しみ①  1

     そこに眠る死者の頭を優しく撫でるように、風が吹く。冷たい風だった。その息遣いに合わせてさわと囁くように揺れるのはついこの間まで極彩色の葉を纏っていた枝々で、むき出しになった木の表皮が、秋の終わり特有の寒々しさをいっそう際立たせている。
     雨緒紀が北流魂街七十五区の山中に足を踏み入れたのは、あの一件からはじめてのことだった。渦楽作兵衛の手によって引き起こされた、瀞霊廷を揺るがす数々の騒動。憎悪という、それまで生きるよすがとなっていた感情に衝き動かされた作兵衛は元柳斎の暗殺を企て、そしてこの地で長次郎の手によって粛清され、葬られた。
     あれからまだひと月も経たないというのに、作兵衛の墓――墓と言っても墓標どころか目印すらもない、土が盛り上がっただけの場所――の上には水分が抜け、色彩を失った枯れ葉がいくつも重なっており、雨緒紀には、それがまるで葬られている人間の存在自体を覆い隠しているように見えた。雨緒紀自身も同情をするつもりは微塵もない。全てがあるべき結果へと帰結した、ただそれだけのこと。
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    DONE若やまささ+雨緒紀、乃武綱……他
    「希望という名の罪」⑤(終)
    ※続・雨緒紀の物語
    ※やまささと言い張る。
    ※捏造あり。かなり自由に書きました。
    ※名前付きのモブ有。
    ※流血描写あり。
    希望という名の罪⑤(終)  7

     隊首会議は日が昇ってすぐに開かれた。緊急の招集ということもあり、任務や騒動の事後処理で不在の者を除けば、参加者は十三人の隊長の半分にも満たない。
     一番隊執務室に集まったのは元柳斎と雨緒紀、そして乃武綱、卯ノ花、不老不死、金勒のみ。今回の当事者である雨緒紀から騒動のあらましと作兵衛についての話を聞いた一同は、ついさっき起こった反乱とも呼べる事件のめまぐるしさに沈黙するしかなかった。
    「渦楽作兵衛は拘禁牢に入れてある。あいつの所属は一番隊だから、処遇については山本が決めるのが妥当だと思うのだが」
     言いながら雨緒紀は参加者の顔を見回し、反応を伺う。誰も何も言わない。乃武綱と金勒は神妙な面持ちで床の一点を見つめており、珍しく隊首会議に顔を出した卯ノ花に至っては、まるで座したまま眠っているように薄く目を閉じている。逆に不老不死は、背中にのしかかるような空気感に落ち着かないのか、そわそわと他の隊長の顔を見比べるばかり。
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    DONE若やまささ+雨緒紀、乃武綱……他
    「希望という名の罪」③
    ※続・雨緒紀の物語
    ※やまささと言い張る。
    ※捏造あり。かなり自由に書きました。
    ※名前付きのモブ有。
    希望という名の罪③  5

    「あれは嘘だ」
     こちらを睨みつける作兵衛の声が、鉛の重厚感で臓腑の底へと沈んでゆく。「俺は山本重國を始末するためにここにいる」続けられた声に脳天を殴られた心地になった長次郎は、ただただ呆然としながら目の前の人物を眺めることしかできなかった。
     そこには自分を一心に慕ってくれた後輩はもういない。純粋さの下に隠した本性をむき出しにして冷たい狂気に身を浸す、一人の復讐者が存在していた。その目には自分以外――長次郎を含めた全ての人間を拒絶し、否定し、ひたすら孤独に徹してきた、悲痛な感情が宿っているのが見て取れた。
    「何故……」
     足元から競り上がるこの感覚はなんだろうか。悲嘆か、憐憫か、それとも恐怖か。肋骨の下で渦巻く感情に喉を締め付けられる心地になりながらも、長次郎は凛然と作兵衛を見つめる。ついさっきまで先輩と呼んでいた人間の、隠しきれない不安に染められた声を聞いた作兵衛の方は、自虐的な笑みを崩さないまま訥々と話す。
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    DONE若やまささ+雨緒紀、乃武綱……他
    「希望という名の罪」②
    ※続・雨緒紀の物語
    ※やまささと言い張る。
    ※捏造あり。かなり自由に書きました。
    ※名前付きのモブ有。
    希望という名の罪②  2

     光と呼ぶには頼りない、淡々しい陽光が雲間から細く差し込んでいる。薄雲の下に広がる極彩色の紅葉は、その鮮やかさを存分に発揮できるまでの明度がないせいかどこか暗い影を落とし、山の方からゆるく吹き抜ける風の中をざわざわと漂っている。
     七番隊舎の見学から一晩が明けた。朝の定例会議を終え、真っ先に自分のもとへ来た作兵衛に、長次郎はこんなことを言った。
    「作兵衛、今日は流魂街の見回りに行こうと思うのだが、付いてくるか?」
    「行きます」
     即座に返って来た、打てば響くような返事。その声を発した本人が、どこへいくのですかと目だけで訴えれば、長次郎は緊張を孕んだ面持ちのまま答えて見せる。
    「行き先は――」


     北流魂街七十五区。瞬歩を使いながら最短距離を移動してきた二人は、人目に付かないよう郊外に降り立った。草履越しにも感じ取れる乾ききった大地はそれだけで不作を想像させ、はじめて足を踏み入れる下層地区に心臓がせわしなくなるのを実感しながら、長次郎は辺りを見回した。
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    MEMO「己が役目」https://twitter.com/hiko_kougyoku/status/1629483406236192770?s=46&t=RvuIaUEYuuUKDftTsHJAKg
    「己が役目」メイキングという名の一人反省会※初期の構成やら苦労したお話とか。
    ※今回は参考にしたものとかも載せました。
    ※相変わらず妄想多め。
    ※とっ散らかった文章です。



     まず恒例の「当初はこうなる予定だったんです!」なお話から……。

     はじめはもう少し軽いお話にするつもりでした。アニメで一護と恋次が曳舟さんのところでお腹いっぱい食べるシーンみたいに、長次郎くんたちにがつがつご飯を食べて欲しい! という思いからテーマは「いっぱい食べる君たちが好き」というお話になるつもりでした。
     登場人物は長次郎と知霧のみ。冒頭の隊首会議の場面はなく、長次郎が元柳斎と話す場面も、千日や乃武綱が登場することもなく、長次郎と知霧がモブ貴族の屋敷であんみつを貰って日向ぼっこのシーンからスタート。美味しいおやつを貰って、豪華な夕飯を貰って、幽霊が怖いとガクブルする知霧とコントをやりながら夜を迎えて、そうしたら依頼主の貴族が護廷十三隊の情報を集めていることが発覚して、幽霊が怖いと演技していた知霧がその企みをズバッと見破って、そうしてなんだかんだで解決したあと、朝日に向かって自分が元柳斎に報告するんだ! と喧嘩しながら帰路につく……そんなあっさりとしたお話にするつもりでした。
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    MEMO「境界」メイキングという名の壮大な妄想語り。
    ※「境界」(https://twitter.com/hiko_kougyoku/status/1621149503515664394?s=46&t=pWtkkhl5-n3x-D12xlyb-g)
    「境界」メイキング的な※書いている時にこういうことを考えたよ!これが後付けの部分です!ここが伏線!このキャラはこういう解釈してます!と言った内容を長々と書いてあります。
    ※とっ散らかった文章です。





     2022年12月。年末のクソ忙しい中、一つの疑問が浮かぶ。

     長次郎くんはどういう経緯を辿って千年後の雀部副隊長になったのだろう?

    若い方のイメージ(長次郎くん)
     声が大きい、表情豊か、溌溂、悩み多し、元柳斎大好き!、聡明、優秀、努力家、わんこ系、押しかけ女房。

    老いた方のイメージ(雀部副隊長)
     泰然自若、凛然、忠節、純白、真面目、無口、地味、元柳斎大好き! 聡明、優秀

     雀部副隊長、死神図鑑では恋次に悩みを吐露したり、英国ショップを見てはしゃいだりで意外と表情豊かですよね。でも原作ではそんなに表情を変えないし、それどころか喋らない……。長次郎くんと全く反対の印象のような気がして、千年の間に何かあったの???などと思いました。年を重ねて落ち着いた、と言えばそれまでですが、それ以外にも何か……例えば何か辛いできごとがあったとか、多くの別れを経験し繰り返すことで研ぎ澄まされてきたのではないか……。
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