五次のメモ・付き合った五次(と茶々を入れるルと不)
マー髭面のガンマンが若侍を囲ってるワ!とか
女に弱いゴエちゃんを誑かすなんて次元ちゃんも悪い男だねーとか
確かにゴエは顔綺麗だし次元ちゃんゴエのこと甘やかしてるもんねーとか
なんか好き勝手言われるし
当たり前のように次五だと思われているが
実際は若侍の方が猛アタックしたし
弟みたいだと和んでた無防備おじさんはアタックされて超ビビって焦りまくった
スイッチ入れば押せ押せの若侍に、押しに弱い捻くれおじさんが絆されて結局流されちゃう感じの五次
次と五、ルと不で隣合って対面のソファに座る
改まって報告することでも無いだろうに、変に緊張する、と思いながら掛けていたエプロンを畳んで膝に乗せる
「…あー、その。一応、ちゃんと報告しておこうと思ってな」
「いやまぁ薄々感じてはいた、つか確信には近かったけんども、やっぱり?」
「うむ。某たちは相思い合う仲となった」
「あいおもう」
「オツキアイしてますってことだ」
「私は別にあんた達がどうなろうと全く構わないわよ。私を巻き込まないのなら勝手にしてちょうだい」
「俺もなんも心配するこたねぇな。むしろオメデタイくらいよ。仲間たちが仲良きことは素晴らしきかな〜」
おいおい茶化すな。いや、今はむしろ茶化してくれた方がありがたいか?
「お互いにプロだ。仕事に私情を持ち込むなんざしないが、どうしてもアジトを共にする以上、話しておいた方が良いだろうと思った」
「まー、その辺はお前らのこと信頼してっから」
「というか、それを言うならルパンの方が酷いんだがな」
「アジトに某達がいるにも関わらず女を連れ込んでおるからな」
「まぁ!ルパンったら酷い男」
「不二子ぉ〜!俺にはお前だけだって」
いつもの茶番を流した後、お茶請けのケーキにフォークを刺しながら不二子が不意に話しかけてくる
「それにしても、五ェ門が次元となんてね」
言い方、と思わないでもないが、実際自らそう思う部分もあるので特に何も言わないでおく。
「…まぁ、こいつなら他に引く手数多だろうしな」
「やっぱ次元から告白したのけ?」
「さぞロマンチックなキザったらしい台詞だったんでしょうね」
「別にどっちだっていいだろ…」
急に興味津々だなこいつら
緊張していたのが馬鹿みたいだ。ちょっとうんざりしてきた。
「色事に弱い五ェ門を誑かすなんて、次元ちゃんも悪い男だよねえ」
「一体どんな手を使ったのかしら」
「傍から見ても分かるくらい可愛いがってたし」
「いやだから」
「告白したのは某からだ」
「…へ?」
「あらそうなの」
ここで茶をすすっていた五ェ門が急にアクセルを踏み出す
「某から次元に告白した。もう見ているだけでは辛いと」
「しかし次元は頑なに某の想いを信じようとせず、逃げるのを捕まえるのも大変だったのだ」
「素直でない次元に想いを聞くのも、伝えるのも、時間を要した。ルパンの苦労も分かるというもの」
お前が飲んでるの茶だよな?酒じゃないよな?
この前手に入れて嬉しがってた高級茶葉で煎れた茶だよな?
急に五ェ門はふっ、と微笑み横目で次元を見る
「…確かに次元は、何時でも可愛らしい」
「しかし、他人から見て分かるほど感情が漏れていたのではいかんな。修行が足りん」
目を閉じてまた茶をすすり出す侍を前に、
いや可愛がってたのは次元がお前を、とか
ていうかお前から告白したのかよ、とか
まさかの、まさかのそっちがそっちか、とか
沢山の言葉が浮かんだが、世紀の大泥棒も絶世の美女も何も言えずただぽかんと口を開けることしか出来ないでいた。
世界一のガンマンはそのアホ面を盛大に笑ってやりたかったが、しかし、侍の隣で真っ赤に染まった顔を隠すために帽子をぐいと引き下げることで精一杯だった。