耳飾りの少年の生家で生成されたもの。
売り物にならないような
規格外の小さな炭の欠片であるが
水煙管の加熱用に使うには持ってこい。
なぜなら水煙管の天板には
大きいものをひとつ置くより、
小さい炭を複数乗せた方が
火力の調整がしやすいため。
なくなる頃に気を利かせて
定期的に届けてくれるのも有難かったが
今やその少年の行方は知れず。
ここに耳飾りの少年は数多いるが
教祖は新しく発注先を探すことはしなかった。
懇意にしていたあの少年の生家の炭こそが
一級品と知ったからである。
以降、水煙管用の炭は
教祖手ずからナタを振るい、 手を黒く汚しながら
小さく割った炭を使うようになった。