酔い「まだ酔ってねぇよ」
とマトリフは酔っ払いの常套句を呂律の回らない口で宣った。マトリフは酒好きだがあまり強い方ではなく、小一時間もすればすっかり出来上がってしまった。
「おいガンガディア、酒持ってこいよぉ」
机に突っ伏しているにも関わらず、マトリフはさらに酒を所望した。だが今ここにガンガディアはおらず、それを忘れてガンガディアを呼んでいるあたり、マトリフの酔い加減が伺える。
「そろそろ止めておいたほうがいいですよ」
一緒に飲んでいたアバンが言う。アバンはゆっくり飲んでいたので、まだ酔ってはいなかった。むしろマトリフがこうなるとわかっていたので、酔わないように酒の量を調整していた。
「大丈夫かよ師匠」
赤い顔をしたポップがマトリフの肩を揺さぶる。ポップも酔いが回っているようで、緩んだ表情をしていた。
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