触らないでください壊れています「グエルって、また休学扱いになるの、それとも退学?」
「休学。だけどさすがにもう戻ってこれないと思うよ」
――もう戻ってこれない、か。
ラウンジの中央にチラリと目をやると、グエルが寮生達に囲まれて酒をつがせてほしいと引っ張りだこになっていた。久しぶりの、本当に久しぶりのエースパイロット祝勝会が開かれている。十八歳になってる連中は飲んで良いだろ、と普段なら供されない酒も持ち込まれて皆テンションがおかしい。
「寂しくなるな」
俺の言葉に、ラウダは困ったように眉を寄せて、ふ、と息を吐いた。仕方ないだろ、と言わんばかりに。でもその顔は妙に穏やかに凪いでいる。そう、普段だったらグエルの前に立って群がる寮生達の交通整理でもしてそうなラウダは、なぜかカウンター席に座って一人でニコニコと笑いながら酒を煽っていた。
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