無題2024年2月21日 午後10:26
2024年9月1日 午後9:21
「今の調査団はこんなに良いものを食べているのか?」
「……。いや、そうでもない……と思う。」
「どっちなんだ。」
大きな肉を中心に、高さを出して配膳されたワンプレートを食べる男が嫌いだ。吸い込まれるように消えていく様が気持ちいいくらいだとか、思っても口に出してすらやらない。
いつも引き結ばれたこいつの口が肉を噛むのを、ぼくは少し遠くに立って、壁に持たれて見ている。
ぶちぶちと肉の筋繊維が切れる。口の中に消えていく。油を流し込むように果実を沈めた水を喉に傾ける。
不意に翼竜の甲高い鳴き声が聞こえて、ぼくは天井に目を向けた。短い感覚で音が共鳴し、ギリギリの均衡を保っていた砂が一筋落ちる。ここは大蟻塚の崩れた一角にあるから、滅多なことがない限り安全だ。それでもぼくはなんとなしにそれをじっと見詰めていて、癪だがこいつもそれを見ていて、後に続く物々しい咆哮が聞こえないことを確認してから、ようようと口を開いた。こいつの口は、自身のことを語る時は、殊更重かった。
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