マフィアパロ🖤❤️幼い頃、町内に住んでいた年下の男の子とよく遊んでいたウノ。
しかし突然の引っ越しで、挨拶もできないまま別れることになってしまった。
それから時が経ち、大人になったウノは、久しぶりに昔住んでいた場所へドライブついでに立ち寄った。
懐かしい公園を眺めていると、後ろから声をかけられる。
「ウノ兄さん?」
——この声、もしかしてあのときの…?
振り向いたウノの目に飛び込んできたのは、まるでヤクザのような風貌の大きな男だった。
その男は半袖の学生服を着ていて、高校生のように見えた。
しかし、オールバックに整えられた髪、鋭い目つき、引き締まった体つきがどこか近寄りがたい雰囲気を醸し出している。
(今、僕の名前を呼んだ…ってことは?)
ウノは目の前の男をじっと観察した。
幼い頃、いつも自分のあとをついて回っていた、あのよく笑う子の面影は、そこにはなかった。
しばらく黙って立ち尽くしていた大柄な男は、急に慌てたように髪をくしゃっとかき乱す。
「兄さん!僕です、ハミンです!」
ぐしゃぐしゃになった髪を手で整えると、見慣れた前髪が現れた。
「ハミン…?君だったのか、久しぶりだね!」
警戒心が解けたウノが笑顔を見せると、ハミンもそれに合わせて微笑んだ。
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立ち話も何だしと、2人は近くのカフェに入った。
「兄さん、あのとき…なんで急にいなくなっちゃったんですか?」
「あぁ、実はね。父さんの転勤が急に決まって、別れの挨拶ができなかったんだ。
ハミンの住所も知らなかったし、手紙も出せなかった。ごめんな。」
「そうだったんですね……僕、すごく寂しかったです。」
「本当にごめん。もう、急にいなくなったりはしないよ。」
「本当ですか?」
「うん、約束する。」
その言葉にホッとしたように微笑むハミン。
ウノが子どもの頃のように指切りをするとハミンはあの頃のように笑顔を浮かべて応えた。
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そのあと、一緒に食事をし、ウノはハミンを家まで送ることに。
ハミンに案内されるままハンドルを切ると、目の前に現れたのは、想像をはるかに超えるほど豪華な邸宅だった。
厳重な門の前にはスーツ姿の屈強な男が立っていて、ウノの車の助手席のドアを開けた。
「ハミン様、お迎えにあがりました。」
「あっ……ウノ兄さん!今日は本当にありがとうございました。また一緒に遊んでください!」
「あ、うん。また遊ぼうね。」
ウノは一瞬、目を丸くしてぽかんとした。
けれど、ハミンの無邪気な笑顔に引かれるように、思わず返事をしていた。
(そういえば……ハミンの家のこと、何も知らなかったな)
どんな家族なのかと想像しながら、ウノはその場を後にした。
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それからというもの、2人は時間が合うたびに何度も遊びに出かけた。
だがついに、ウノがこの町を離れる日がやってきた。
「……僕、明日帰るんだ。」
「……え?どういうことですか?ウノ兄さんの家はここじゃ……」
「いや、あれは祖父母の家だよ。僕は今、海外に住んでるんだ。」
——そう。あのときウノは、両親の転勤で海外へ引っ越したのだった。
大学もその国に通っていたし、今回は長期休暇を使っての一時帰国だった。
もちろん距離はある。
だが、今は自分で国を行き来できる年齢だし、ネットやテレビ電話だってある。
少しの間離れても大丈夫だろう——ウノはそう思っていた。
「…………」
無言で、悲しげな顔をするハミン。
その表情に気づいたウノは、そっと彼を抱きしめた。
「すぐにまた会えるよ。次の長期休暇のときに、また——」
「……言ったじゃないですか。」
「え?」
「もう、いなくなったりしないって……言ったじゃないですか。」
「うん。でも、いなくなるわけじゃ——」
「約束と違う。」
ウノの腕の中にいたハミンが、急に語気を強める。
そして、その腕がウノの腰を強く抱きしめ始めた。
だんだんと強くなっていくその力に、ウノは戸惑いを覚える。
「近くにいてくれならそれでいいと思ったけど…
やっぱりしっかり閉じ込めておくべきかな」