夜の深淵、夏のうた 眠りは深い方だ。
寝ると決めたらすぐ眠れるし、多少のことでは起きないし、無理矢理起こされるのは大嫌いだ。疲れやストレスはとにかく眠って回復するタイプ。……なのだと思う。
大抵どこでも眠れるけれど、長身の自分の足がはみ出さないロングタイプのベッドで、柔らかすぎないマットレスを選んで、その上に敷いた清潔なシーツと毛布の間でつく眠りは深くとても心地よい。
大柄なアスリートのための寝具が備え付けられたチームの選手寮は、流川にとっては悪い環境ではなかった。部屋が多少狭くても、風呂が共用でも。元来、快適な休息と食事さえ確保できれば他の事柄はあまり気にならない。
プライベートが確保しにくい、という理由で寮を出た選手を知っている。それに対して、個室はあてがわれているし、部屋に入ってしまえば一人になって静かに眠れるのに? としか思わなかった。そのときは。
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