正史 ツグミ編馬立ツグミは上司である藤原伊代真、平文門と秘密を共有した。山にあるとても神聖そうな台座に刺さっていた聖杖を引き抜いてしまったのである。
ツグミや伊代真は慌てて刺し直そうとしたが、聖なる杖はツグミ達に聞こえる範囲でこう声を掛けるのだ。
「選ばれし者よ。この杖を使えるのは馬立ツグミ、お主だけだ。この世界の頂点に立てることを誇りに思うが良い」
瞬間、上司二人は舞い上がった。
「文門さん聞きました!? あのツグミが頂点ですって!」
「なるほど! 私が頂点になるにはツグミを倒して杖を奪えばいいんだな!」
「何を言っとるんか! ワシに協力せい! こんな形で最強になるんは嫌や!」
ツグミは杖を文門に投げ渡そうとした。だが杖はツグミの体1mから離れない。どうやら、本当に杖に選ばれたようだ。ツグミは心底面倒くさそうな顔をした。
その日から无現里の空は昼間は紫色、夜は橙色とおかしなものになったのである。そして伊代真、文門は魔法の力を得た。いや、二人だけではなく、无現里の住人で力を持つ者全員が属性魔法の力を手に入れたのである。杖の言う通り、ツグミだけが、すべての属性を持つ「頂点」となってしまった。
このままでは牌勝負ではなく、魔法勝負が始まってしまう! 闡裡の連中や瑞風天堺達に精神的にしばかれる! どうにかしろツグミ! 上司達はアテにならないぞ!