後ろから二番目、窓際の席。騒がしいクラスメートの背後を抜けて、類は自身の席に座る。同級生たちの他愛ない日常会話の中に、一つ、また一つと微かに聞こえるこちらを刺す噂話も陰口も、もう慣れた。それに今更傷つくことも憤慨することもない。その口が見えない彼らのことを悪く言わないのが救いだった。友を悪く言われては、類は我慢が効かなくなるから。
そうしていつだったか、司に対しても怒りを向けようとしたことがあったなと思い出す。見える人だからだろうか、こちらの怒りを察した司はすぐに、真摯に謝罪をしてくれたっけ。案外あれは、嬉しかった。思い耽って、類は首を横に振る。彼のことを思い出しては、持つ必要のない罪悪感まで抱えてしまう。
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