Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    damemameokaka

    @damemameokaka

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 20

    damemameokaka

    ☆quiet follow

    旅館の捕食者ほに・エログロナンセンススプラッタ作家今ニ見 逞郎処女作『虐殺図書館』試し読みページ というていの作文です マジで必要のない設定を爆盛りしましたの顔

    虐殺図書館(試し読み版)私立探偵・東照は助手・館田を従え、とある図書館の調査に赴く。そこでは数週間に一度、利用者が行方不明になるのだという。調査を進める二人の前に広がる光景は、想像を絶するものであった。背筋も凍る怪奇作、衝撃の幕開け!

    【📖試し読み】\カチッ/



     その本に手を伸ばした瞬間、突如蛍光灯の明かりがふっつりと消えた。どこもかしこも真っ暗闇で、どれだけ目を凝らしてみても、隣にいる館田君の姿すら見えない。
    「な、何!?」
    「わあ」
     驚いて上げた声は引きつっていた。それに重なるようにして館田君も声を上げる。
     しかしそれからは何も聞こえなかった。まるで水を打ったように静まり返っている。しんと耳をつく寂寞の合間に辛うじて聞こえるものといえば、私と館田君が身じろぎをするたびに立つ衣擦れの音くらいだ。
    「何でしょうかこれ。停電ですかねえ」
     しばらくの沈黙を挟んだ後、館田君は間延びした声でそう言った。普段通りのとてつもなくゆるい口調だ。こういう時くらい焦るものではないだろうかと私は思う。とんでもなく肝が据わっているのか、それか、もしくはただの馬鹿なのかもしれない。
    「さあね」
    「いやあどうしましょう、何も見えませんね先生。弱ったなあ」
    「そうね」
     館田君の声はその内容に反して完全に落ち着き払っている。どのあたりが弱っているのか皆目検討はつかないが、それをどうこう言っている場合でもあるまい。
     ジーンズの尻ポケットに捻じ込んだスマートフォンを引き摺り出す。幸い、電池は残り七十二パーセントを示していた。
    「なるほどお、その手がありましたねえ」
     館田くんは「流石先生です」と嬉しそうに言った。仮にも探偵の助手だというのに、その頭の回転の鈍さはいかがなものか。
    「……あのね館田君」
     思わず苦言を呈しにかかった私は、そのまま何も言えずに口を噤んだ。そんなことを気にしている場合ではなかったからだ。
     どすん、と、何か地響きのような音がした。次いで聞こえた、女の絶叫。まるで死の淵にあって、この世の苦しみを煮詰めて口から溢したような。
     私は言葉を失った。あの館田君ですら何も言えなかった。

     ──何かがいる。
     ──何か、恐ろしいものが、そこに。

     一種の生存本能のようなものが私の中で絶叫した。確信を持つ。ここにいてはならない。逃げなければならない。
     踵を返そうと踏み出した一歩は、しかし意に反して前へと進んだ。一歩、そしてまた一歩。聞いたことのない音がした方へと。女の叫び声が聞こえた方へと。
     私の生存本能を、遥かに凌駕するもの。それこそが探求心だった。見たい、知りたい、分かりたい。たとえそれで何が起きたとしても。
     スマートフォンから発する一筋の光を頼りに私は進んだ。前へ、前へ。足を進めるたび、何か嗅ぎ慣れぬ香りが濃くなっていく。お陰で行き先に迷うことはなかった。
     ふいに、何か、生温かいものが頬に触れた。私はその場で足を止める。皮膚に到達した瞬間にぱたりと音を立てて跳ねたそれは、一滴、また一滴と休むことなく私の頬を濡らしていく。鉄臭い、それから、生臭い。嗅いだことのない、酷い匂いがしている。喉元にこみ上げる酸っぱい何かを堪えながら、私は自分の手元を照らす。そこには一面の赤が広がっていた。鉄の香り。血だと確信するのに、そう時間は必要なかった。
     私はそのまま立ち尽くしている。唖然とする私を気に留めることもなく、赤は私の頬を染めていく。頬を伝い、服を、肌を、床を汚す。爪先に感じた湿った感触で、ようやく足下に血溜まりが広がっていることに気が付いた。履き古した白いスニーカーは、いつの間にか血を吸ってすっかり変色している。この様子だと、靴下ももう駄目になってしまっているだろう。
     見るべきではないのだろう。頭のどこかで鳴る警鐘を聞きながら、しかし私は顔を上げた。スマートフォンを掲げる。一筋の光で、暗黒を照らす。
     ぐちゃぐちゃに叩き潰された人間の肉塊がそこにはあった。辛うじて人間だと判断できたのは、すっかり押し潰された赤黒い塊から生えた一本の腕が、原型を留めたままぷらぷらと揺れていたからだ。何をどうしたものか、低い天井にへばりついた塊は、血肉を滴らせながら黙している。
     呆気に取られてぽかんと口を開いていた私の下に、再び何かが落ちてくる。べちゃりと湿った音と共に視界が奪われる。咄嗟に目は閉じたものの、凄まじい悪臭が私を襲った。
     慌てて拭った手の甲には、どろりとした塊がべっとりとこびりついていた。赤と黄色をないまぜにしたそれは、服で拭ってもなおべたついたまま不快感を残している。胃の内容物を吐き出しながら、私はその場に蹲る。赤黒い床に手を突いて、血の海を吐瀉物で汚した。
     余計な好奇心など持つべきではなかった。そんなものは捨てるべきだったのだ。ようやくそう気付いた頃には、もう既に手遅れだった。私は逃げられなくなっていた。

     だってもう、すぐそこに。
     私の、真後ろに。

     何かの気配があった。おおよそどんな生き物とも似つかない何かの息遣いが、私の荒い吐息を掻き消した。


    【➡️今すぐ購入】
    【🛒カートに入れる】
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👏👏😭🙏💴💴💴🙏💕💘
    Let's send reactions!
    Replies from the creator