虐殺図書館(試し読み版)私立探偵・東照は助手・館田を従え、とある図書館の調査に赴く。そこでは数週間に一度、利用者が行方不明になるのだという。調査を進める二人の前に広がる光景は、想像を絶するものであった。背筋も凍る怪奇作、衝撃の幕開け!
【📖試し読み】\カチッ/
その本に手を伸ばした瞬間、突如蛍光灯の明かりがふっつりと消えた。どこもかしこも真っ暗闇で、どれだけ目を凝らしてみても、隣にいる館田君の姿すら見えない。
「な、何!?」
「わあ」
驚いて上げた声は引きつっていた。それに重なるようにして館田君も声を上げる。
しかしそれからは何も聞こえなかった。まるで水を打ったように静まり返っている。しんと耳をつく寂寞の合間に辛うじて聞こえるものといえば、私と館田君が身じろぎをするたびに立つ衣擦れの音くらいだ。
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