窓の外 人の気配の少ない艦内を進む。
僕は今、藤丸を探していた。
既に行ったマイルームは不在。では医務室にいるキリエライトの元かと訪ねてみたが、これも空振り。
スタート地点の管制室に戻った方が良いかと思いながらも、ひとまずストームの後部へ向かって歩いていた。
別に、急ぎの用という訳ではない。
どこかのタイミングで偶然顔を合わせた時に、数分もかからずに終わるような、些細な用事だった。
それなのにこうして探している理由は、そう、ただ何となく。何となく、藤丸を見つけておきたい気分というだけの事だった。
藤丸は自身の体内に発生した特異点へのレムレムレイシフトを短期間に二度も行った。こちらの心配をよそに、帰還後の様子はけろりとしたもの。ただ、キリエライトからの密かな要請もあり、藤丸は暫しの休養期間に入っていた。
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