バースデーに贈る花イエローウエストの賑やかさは、時々見られたくないものを覆い隠してくれる。その点で、とても都合のいい街だ。
パトロール中、フェイスが「うわ」と嫌そうな声をあげたのを聞いて、横を歩いていたキースはなんとなくその方へ視線を移した。その先にある大型のデジタルサイネージには、見慣れたルベライトが一対。鋭く、艶やかにこちら側を見据えていた。それを見た周囲からは黄色い声があがっている。そりゃそうだ。画面の中のブラッドは普段からは想像もつかないほど大胆に胸元を見せ、「セクシーな雰囲気」を纏わせていた。
「はー……例のヤツか。こりゃまた…」
先日、香水ブランドのアンバサダーにヒーローが就任した。なんて旨の話があった。広告を見るに、ビアンキが嬉々としてブラッドをプロデュースしたことが伝わってくる。こんな機会でもない限り、普段のブラッドからは想像もつかない絵面だ。思わずキースは苦笑いをした。その半分は、コレを自分もやらなければならないことに起因しているのだが。
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