「まさか、最後にお前と戦うなんてな」
「……なんですか? 急に」
レッスン室の片隅、趣味で習っている木刀を振っていたら、後ろから急に声を掛けられた。宣戦布告、ということでいいだろうか。
「付き合えよ、練習」
「モクレンさんにでも頼んでください」
「負けるからいやだ」
……なるほど。つまり、同じ長物でも弱そうな私とやりたいと。随分舐めた返事をしてくれたものだ。
最近練習し始めたミズキさんが、五年は振っている私の愛刀に勝てると?
「いいでしょう。受けて立つ」
舞台上と同じように向かい合って、刀は下段。どこからでもかかってくればいい。
「女だからってなめてかかると、痛い目見ることになりますよ? 子犬ちゃん」
「あ?」
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