万浬くんSS 昔からかわいいと言われることが多かった。
平均より低い身長、平均より大きめな瞳、切り揃えられた前髪が相まってそう見えてしまうことは仕方のないことだと思う。
「男」として、かわいいと言われることに少しばかりやるせない気持ちを覚える時もあるが、それがお金につながることもあると割り切れてしまうのは、相変わらず厳禁な性格だと思う。
「かわいい」や「かっこいい」に大きなこだわりなんてないが、界川深幸という人間から叩き出されるあの音は、力強く、美しく、ダイナミックで確かに「かっこいい」と思えるものだった。
勿論、かっこいいなんて一括りでまとめられるだけの感情ではないけれど、目を離せない、音を流すことができない、色んな感情が溢れ返る中、至極シンプルに表現をするならこれが一番適していると思えた。
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