君と食べる料理はトクベツ 目が覚めると最近、やっと見慣れてきた白い天井が見えた。パチパチと瞬きをすると、額にかかった焦茶色の髪をかき上げると、レオナ・キングスカラーはゆっくりと上体を起こした。どうやら、ソファで寝てしまっていたらしい。
「あー……」
ローテーブルの下に敷かれた柔らかいラグの上に転がっていたスマホがブーブー、と音を立てていることにようやく気が付いたらしい男は、少し面倒そうにそれを拾い上げると、通話ボタンと合わせてスピーカーのボタンをタップした。
『……やっと出た! もう、何回かけたと思ってるの?』
通話が開始されると同時に聞こえた、不機嫌そうな声に自然と笑みが零れる。これがビデオ通話であったなら、激怒されていたに違いない。きれいな眉を吊り上げながら不機嫌そうにこちらをにらみつけるバイオレットの瞳が、今は少しだけ懐かしくなる。顔を突き合わせていない時間などほんの一週間も満たないというのに。
1956