day2「……で、……なんですけど、稔さん?」
見慣れない部屋で沢北と向かい合い食事をしている。その事実にイマイチ実感が湧かず少しぼんやりとしている自分が居た。
「……っあぁ、ゴメン」
「……」
じっと此方を見つめる沢北の視線が少し痛くて再度「ゴメン」と謝った。
二度の謝罪を聞いても何も言葉を発する事無く、沢北が椅子を引いて立ち上がったのを見て、自分から訪ねて来て上の空な態度を取って呆れられたのかと思い、気まずさから視線を手元のマグカップに落としてしまった。
すると沢北の大きな手が頬を包み、グッと顔を持ち上げて視線が交わる。
「……」
ついさっきまで楽しそうに話していたのに、今は何も言わずにじっと見られて居たたまれない。といってもちゃんと話を聞いていなかった自分が悪いのだけれども。
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