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    大学生になった沢北×松本の未来捏造パロ
    松本くんがアメリカに住む沢北くんの元をサプライズ訪問するお話の2日目SSです。
    文字通り短いお話でお茶を濁してしまい申し訳ございません💦

    day2「……で、……なんですけど、稔さん?」

    見慣れない部屋で沢北と向かい合い食事をしている。その事実にイマイチ実感が湧かず少しぼんやりとしている自分が居た。
    「……っあぁ、ゴメン」
    「……」
    じっと此方を見つめる沢北の視線が少し痛くて再度「ゴメン」と謝った。
    二度の謝罪を聞いても何も言葉を発する事無く、沢北が椅子を引いて立ち上がったのを見て、自分から訪ねて来て上の空な態度を取って呆れられたのかと思い、気まずさから視線を手元のマグカップに落としてしまった。
    すると沢北の大きな手が頬を包み、グッと顔を持ち上げて視線が交わる。
    「……」
    ついさっきまで楽しそうに話していたのに、今は何も言わずにじっと見られて居たたまれない。といってもちゃんと話を聞いていなかった自分が悪いのだけれども。
    何故だろう。いつも俺の前では笑顔の沢北が今は何の表情も顔に乗せて居ないだけで悲しくてじんわりと目元が熱くなるような気がした。
    「……やっぱり」
    「えっ!?なに……」
    グッと沢北の顔が近付いて、思わずギュッと目を瞑った。
    「稔さん熱ある!」

    「へ?」

    意味が分からなくて目を開けると焦点が合わず沢北の顔がぼやけて見えた。
    「そう言えばさっき抱き締めた時もポカポカしてるなって思ったけど、昨日の夜無茶させたからかなとか……どうしよ、とりあえず体温計……って、オレん家体温計無い!風邪薬……も無いっ!どうしよ」
    でこやら頬やら首筋やらをペタペタ触りながら落ち着きなく慌てる沢北の様子を見て「落ち着け」と言いたいのに思考がぼやけて上手く口が回らなかった。
    「上のフロアに同じ大学のヤツが居るからソイツに体温計持ってないか聞いてきますね!稔さんはとりあえず横になっててっ」
    そう捲し立てた沢北に少しぶかぶかな沢北のボトムを履かせられ、ベッドの中に押し込められた。
    バタバタと慌ただしい音が遠ざかり、部屋の中が静かになると自分の息の荒さと平常時より早い鼓動が耳に届いた。


    「あ~、情けねぇなぁ……」

    いつの間にか眠っていた様で、浮上した意識は思いの外はっきりとしていた。
    沢北が借りてきた体温計は37.8度を示し、発熱としてはそこまで高くはなく症状も特にないので恐らく疲労からくる発熱だろうと結論付け、薬は飲まないまま休む事にした。
    久し振りの長旅と、知らず知らずのうちにしていた緊張。時差ボケは何とか免れたけど、明け方まで無理をしたしわ寄せが来たのかもしれない。
    これに関しては久しぶりに触れる沢北の感触に自分自身も歯止めが効かなかった自分にも責任がある。
    日頃体調管理を怠る事は無いのに、結果的に沢北に心配をかける始末に大きくため息をついた。
    朝から練習があるという沢北は家を出るギリギリまでベッド側で俺手を取り優しく撫でてくれていた。
    沢北が触れた手をギュッと胸に抱き込み、もう一度目を閉じた。



    「ただいま~」
    何時もよりも静かにドアを閉めてそっと寝室を覗けば、規則正しい呼吸音が聞こえて来てほっとした。
    少し火照った体と潤んだ瞳に昨夜の情事の名残を感じたけれど、どうにも様子がおかしくて熱を測れば予想通り熱があったのでとりあえずベッドに連れて行き休ませる事にした。
    本当はずっと付いて居てあげたかったけれど練習を休む訳にもいかず、無い後ろ髪が引かれるのを感じながら家を出た。
    風邪の症状と言うよりは疲労による発熱できっと間違いないとは思うけど、万が一が無い訳では無いので今日は念の為家で休んでもらう方が良いだろう。
    人生で熱を出した記憶があまりなく、こういう時はどうしてあげるのが良いのか分からないから自分で調べると共にチームメイトにも聞いてみた。
    チキンスープが風邪の時にはいいと聞いたので、風邪ひきでなくても栄養を付けるには良いだろうと帰りにスーパーへ立ち寄った。
    レモンと蜂蜜のドリンクは家にある材料で作れるので問題ないだろう。あとは今日明日と出かけにくいかもしれないので、二人分の食料も買い足した。
    静かに眠る稔さんの姿を確認してキッチンに戻り買ってきた食材を置いて足早に浴室へと向かった。
    手早くシャワーを済ませ、調理ともいえぬ作業を始めた。
    稔さんが目を覚ました時、何か口にできる様にしてあげたい。

    きっと稔さんはオレに迷惑をかけたと思ってるんだろうな。
    勿論稔さんの体調は心配だけど、心のどこかでこの時間を嬉しく思っている自分がいた。
    離れて暮らしていると知る事が出来ない日々の変化がある。けど、今はそれをこの目で診て触れることが出来るのだ。いつも夢に描いていた時間に少し浮かれている自分が居た。

    粗方調理が終わった頃に寝室のドアが開く音がした。
    想像通り、申し訳なさげに姿を見せた稔さんに思わず笑みが零れそうになるが流石に不謹慎だと口元を引き締めた。
    「体調どうですか?」
    心の中の心配だけを汲み取り表情と声に乗せて稔さんに話しかければ「あぁ、もう大丈夫だ」と返って来た。
    ありのままの姿全てが愛おしいと思うオレと、そんな姿を見せる事に後悔の念を募らせるこの人との距離を埋めるのはもう少し時間がかかりそうだけど、オレから離れるという選択肢以外は全て受け止めて行くので問題は無いと思っている。
    これから一生を懸けて分かって貰えればいい。
    取り敢えず、今はこの人の不安をゆっくり溶かす事に専念しよう。
    この短い滞在期間は砂糖菓子の様に甘い時間を稔さんと過ごす事が最優先だから。




    世間一般に比べると高い部類の身長は、高校卒業後、縦には然程伸びなかったけれど多少なりとも体格はがっしりとしていてでかいと思ってる。
    なのに今、そんな体は“すっぽり”と自分より高い温もりに包まれている。

    「なぁ、さわきた」
    「ん?なんですか?」
    「……その、しな……いのか?」

    沢北の胸に収まりながら少し見上げた先にある沢北の表情を伺いながら聞いてみた。
    とは言え、自分でも何を言っているんだと思う。流石に噛まなかったけれども。

    「ん~……しない、です」

    その返答を聞いて落胆している自分に、更に何をと重ねて思った。

    「……そっか」

    今日、沢北にかけた迷惑を考えれば当然だ。
    何の連絡もせずに訪ねて来て、翌日には熱を出してダウン。流石にありえないと思う。
    気まずさは自然と物理的な距離を取ろうという行動につながり、少し身を捩ると沢北は抱え治す様にその腕に力をこめた。
    こうしていると沢北の体の厚みが良く分かる。きっとまた身長も伸びているのだろう。それに伴い体も大きくなっている。視線を合わせる為に見上げる様になったのはもう随分前の話だ。

    「しない……けど、したくない、ワケじゃないけど、でもしたいってワケでもなくて、でも……って何かワケが分かんなくなってきた」

    そう言うと背中に回っていた手を俺の脇の下に差し込みグッと体を持ち上げる。小さな子供にするようなその動きに気恥しさが込み上げて顔が熱い。
    真正面から沢北に見つめられたせいではないはずだ。きっと。うん、違う。

    「オレはいつでもしたいと思ってるよ。稔さんの事を……“あいしたい”」

    そう言うと甘く蕩ける様な笑顔を浮かべるから、更に顔が熱くなった。もう熱は下がっているのに。
    「だから今日はこうして一緒に寝ましょ。そうしたい」

    こつんとおでこを合わせ、互いの鼻先が触れ合う。
    さっきまで頭の中にあった靄は綺麗に晴れていた。

    「おやすみなさい」
    「ん、おやすみ」

    昼間の発熱の名残がまだあるのか、心地よい体温と優しい音に瞼が自然と降りてきた。




    「でも、……明日はシましょうね」
    「んんっ……」
    沢北が何か言った気がしたような気がした。

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