実験施設の世界観タツナミは【削除済み(旧社名)】時代の実験体だった。
突如発生した「瘴気」の影響を唯一受けなかった彼は非道な実験の主要な被検体となり、他者も同じ目に遭わせ、結果「病」に効果のある新薬開発に成功した。
しかし実験体や病に侵された者を放っておけず、現在は事業形態と社名を変え、いち企業として地表に住む者の保護と治療を行っている。
※薬剤は初期段階での使用を強くおすすめする。
病状が進行した後に投与しても効果がない場合が多い。
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「瘴気」による病について
「瘴気」を吸入した人間の肉体・精神のいずれか、もしくは両方を作り替えてしまう。
体表に他の動物の特徴が現れたり、気性が異常に荒くなるなど、症状は様々である。
この病の問題は人体が「瘴気」を異物と認識できず、薬剤で治療できる段階を容易に越えてしまうことが多い点である。
「瘴気」が空気より重いことが判明してからは、かねてより計画されていた移動都市の建設が加速し人類の10パーセント程が安全な場所を手に入れた。
そこからは「移動都市に住む者」「高地に住む者」「瘴気から逃げる者」の三者に分かれ「瘴気」に抗うこととなったが、「移動都市に住む者」がその他二者からの批判を恐れ情報統制を行った結果、「瘴気から逃げる者」らはわずか2年でその5分の1が命を落とした。
その後「高地に住む者」らは居住区の都市化を進め、資源を地表から輸入している移動都市よりも充実した環境を手にした。
そして、取り残された「瘴気から逃げる者」たちのいくらかは「瘴気」と「病」の根本的解決に向けた研究を始めた。
【研究施設】は数少ない「地表の安全地帯」である。
「瘴気」問題解決のほか、「瘴気から逃げる者」たちの受け入れも行っている。
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※以下資料の閲覧には施設長「タツナミ」の許可が必要です
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【削除済み(旧社名)】の事業内容について
人間同士の争いにより周囲の環境や他の生き物を破壊してしまう現状を憂いた某国が、多額の資金を払い秘密裏に始めたのが「人間のみをターゲットにできる兵器の開発」であった。
初めは人体を直接破壊する方向で開発が進んでいたが、多数の死体が生み出す二次被害や殺人そのものへの批判といった観点から、「人類の精神のみを破壊する」ことに決定。
しかし、精神と肉体は切っても切れない縁で繋がっており、心を喪失した者は次第に衰弱し死んでいった。
某国が話し合いと研究内容の精査を行った結果、
廃人レベルまで精神を破壊したり知能を落としてしまうのは本意でないとのことで、「正常」なままで無力化するために研究を重ねていた。
そんな中「瘴気」がもたらした被害は、奇しくも理想に1番近い結果といえるものだった。
あれは人間の精神や体をねじ曲げているが、被害者である自覚すら無いものもいるからだ。(“「正常」な状態での無力化”の達成)
【タツナミの友人】
彼が「瘴気」と化した日を命日とするならば、17歳でこの世を去ったことになる。
過酷な実験の被検体にされた彼は「瘴気」となって自身の思い≠病を世界中にばら撒き、今も消えない厄災としてタツナミを守り続けている。
・タツナミの命を守りたい、苦しんでほしくない
・自身の無力感
・自身や世界への憎しみ
「瘴気」の初期症状に気づきにくいのは、それが人間の感情をベースにつくられたものであり、異物と認識しづらいからだと考えられている。
タツナミは「瘴気」が友人そのものであることを理解しており、だからこそ病の治療と「瘴気」の無力化に尽力してきた。
※兵器の開発は「瘴気」の発生で停止せざるを得なかった。施設員や実験体のほとんどが使い物にならなくなったからである。
その後「瘴気」は他の人間を探すためか【研究施設】からはさっぱり消え、他の地域へ広がっていった。
※現在「瘴気」研究の面舵は他社の手にある。タツナミはその企業へ全ての情報を提供し、現在は今いる難民や実験体の管理に注力している。
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【タツナミについて補足】
・タツナミとその友人は、他国よりも標高の高い地域で育った。
その地域に住む人々は総じて穏やかで安定したメンタルを持ち、結果寿命も長い傾向にある。
・タツナミには「瘴気」が効かなかったわけではない。
それに晒された日を境に身体の治癒力が上昇したため、他の比にならない数の実験を自身で行ってきた。