ご褒美になって「……うぅ……」
「何してるんですか、賢者様。そんなところに突っ伏してないで早くこちらに来て」
「まだ……まだ報告書が何枚も、なんまいも……」
「唸ってないで早く」
「うぅ~……やめて、揺らさないでミスラ~!」
いつの間にか音もなく部屋に入ってきたミスラが、机の上に広がる書類の山に突っ伏す俺の頭をぐりぐりと容赦なく揺らしてくる。書きかけの書類たちが机から落ちていくのを視界の端に入れながらも、それを拾う気力も、ミスラの腕から逃げる力もなくて、せめてもの抵抗で伏せた顔はあげなかった。きっと、みっともなく疲れてやつれた顔をしているから。
今日はとても長い一日だった。
早朝からの任務に出かける前、今日の同行メンバーであるスノウとホワイトに気の毒そうにシュガーをふたつ、与えられた。曰く、今日は様々なハプニングが降りかかる厄日となるだろう、と。そして決して外れない双子の予言通り、思い出すとげんなりと溜息が出るくらい、たくさんの小さな不幸が積み重なって襲ってきた大変な一日となった。魔法使いたちのサポートがなければ、今頃フィガロの医務室のベッドで傷だらけで寝込んでいるかもしれない。そう考えると、外傷はなく、体力気力を使い果たしただけの今はまだましなのかもしれないけれど。
3305