S・Sのバレンタイン真っ白な頬が薄いピンクに染まり、見る度綺麗な花緑青の瞳は伏せられ長い睫毛が震えている。その姿がたまらなく可愛かった。しかもオレへ差し出すちっこい手の上には一つのチロルチョコ。
「……これ、真一郎くん貰って」
そう言った姿にオレは愛おしいと思ってしまった。まだ小学生の男の子。オレよりオレの弟の万次郎と歳が近いその子に圭介や春千夜には抱かない感情を抱いてしまった。
「ありがとな、青宗」
それを隠すようにチロルチョコを取り撫で慣れた柔らかいブロンドに手を置く。いつもと違いわしゃわしゃと撫でて抱く感情に蓋をした。
「ううん!貰ってくれてありがとう!」
なのにさっきまでの照れを感じさせないデカい目を閉じるかのように細めて、口を限界まで開けた笑顔は純で無垢で何よりも美しくて。胸に何かがとぐろをまくのが自分でよく分かる。愛おしさとその何かはイザナや万次郎、エマに対するものと明らかに違ってて、また圭介や春千夜とも違っていた。
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