ストレス性胃炎ミナセコウ「あークソ、忙しい忙しい、なんだって俺が夏休みの宿題のプリントなんて作らなきゃいけないんだ!!」
ほかの教師に仕事を押し付けようにも押し付けられるような人員がいない。そして、そもそも水奈瀬自体他の人間に仕事を押し付けることを嫌う人間だ。
極度の仕事人間。それが“水奈瀬コウ”という人間。
昼食を食べる時間も気力もないので、ここ1ヶ月の食事を全てゼリー飲料で済ませている水奈瀬。
そろそろ救急搬送されてもおかしくない、と思っている水奈瀬は保険証を常備し始めるところまで来ていた。
「でも、あと3日乗り切れば俺も夏休みなんだ。だからさっさと夏休みの宿題作って家に帰りたい。」
あまりにも仕事量が多すぎる上に、今すぐに動ける教師がそもそも水奈瀬コウと同僚の氷山キヨテルだけなので、圧倒的な人員不足である。
「水奈瀬先生、大丈夫ですか?」
メガネの教師。氷山キヨテルが問いかける。
「氷山先生……これが大丈夫に見えますか?」
「いや……うーん……少なくとも大丈夫そうには見えないですね」
「でしょう?でしたら氷山先生もコーヒー飲んでないでプリント作ってくださいよ」
「いえ、僕はもう全ての仕事を終わらせた上でコーヒーを飲んでいるので……」
「じゃあだったらコーヒー飲み終わったら仕事手伝ってください。俺が救急搬送されてもいいんですか?」
「全く、しょうがないですね水奈瀬先生は。おっしゃる通り救急搬送されては困りますので、僕も仕事を手伝いますよ。どうせ暇ですし。」
「あぁ、助かります氷山先生。危うく死ぬところでしたよ」
「大袈裟ですね……まぁ、でも教師の仕事って死にかけますよね。僕も新人の時はそうでしたよ。」
コーヒーを飲み終わった氷山は水奈瀬の隣のPCで書類のソフトを使いながら役割分担をしつつ、仕事を終わらせていく。
そして3日後。
「やっと終わりましたよ!!氷山先生!コレ見てくださいよ!全部で夏休み30日分の宿題です!」
「いえ、見なくても僕も手伝ったのである程度なんの問題があったのかはわかるのですが……って、あれ?」
「どうかしました?」
「ここ、間違ってますよ。これは直さないとマズイですね」
「え!?また徹夜ですか!?今度こそ俺救急搬送されちゃいますよ……」
「僕はもう知りませんよ!!さすがに!!」
「うわーん氷山先生のひとでなしーー!!!」
終