或る女レッカは村で一番頭がよかった。
村のどの子よりも早く文字を覚えて、五つになる頃には家にある子ども向けの本に飽き、父の読む新聞を覗き見ていた。聡明で利発。レッカを褒める大人たちは口を揃えてそう言った。
レッカは村で一番友達が多かった。
早熟なレッカが新聞で知った遠くの出来事を話せば、子どもたちは物知りな少女に尊敬の眼差しを向けた。頭の回転が早く、子どもたちのどんな問題も解決してしまう少女を、みんなが慕っていた。他の子より少しだけ体が弱かったものの、レッカの周りにはいつも人が集まっていた。
レッカには妹がいた。
妹はレッカと違って平凡な子どもだった。読み書きはもちろん勉強中だし、引っ込み思案な性格で人見知りもした。けれど、レッカは妹が一番大好きだった。妹が熱を出したとき、村のみんながレッカと遊びたがっても、レッカはつきっきりで妹を看病した。体の弱い自分に熱がうつるかもしれないと知っていても、弱った妹を支えたい一心でそばに居続けた。
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