【地獄の業花(ごうか)】純愛系バラードで売り出したモブは伸び悩んでいた。失恋系バラードで売り出していた0(レイ)に、何をしようと追いつけなかっなからである。
そうこうしている間に、彼は歌の舞台から姿を消した。
周りからも恋愛系バラードのライバルとされてきたモブにとって、これ以上ショックな事はない。
やれ恋人だ、失恋のショックだ、いいや事故だと噂されたが、熱心なファンの間で噂された、彼の師匠である歌手、エクボが亡くなったからだというそれが、モブにとって何故か一番納得できた。
納得できたからこそ、更にショックをうけた。ライバルだと思うと同時に、モブは彼に恋をしていたのだと知った。
そんな話を、穴場である寂れた公園でつい愚痴る。独り言ではない、いつの頃からか通うようになった公園のベンチには男がいた。
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