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    mint_nemuiyoooo

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    mint_nemuiyoooo

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    現パロの尾杉です。
    ある日突然、実は尾チンが半分しか入っていないことが判明してしまった尾杉が、それぞれ頑張って夜の営みにチャレンジするお話です。ぬるいですが性描写があります。
    割とちゃんと愛し合っている二人がいます。

    他ならぬあなた特に予定のない、静かな休日の午後のこと。
    リビングの二人掛けソファに並んで座りながら、実はフォークリフトの免許を持っている、とか、10代の頃に携帯で恋愛小説を書いていて、同じ年頃の読者には結構人気だったとか、共有する必要が全くなかったから伝えていなかったことを、杉元はなんとなく尾形に打ち明けてみた。
    どうでもいい、と一蹴されるかと思ったが、尾形は大きな瞳を真ん丸にして驚いていた。
    「なんだお前、この期に及んで新情報が出てくるのか」
    「新情報ってほどでもないだろ…」
    杉元は、尾形の意外にも前のめりなリアクションに不意をつかれていた。
    こいつ、もしかして、自分が思うよりも俺に興味を持ってくれているのかと、嬉しいような恥ずかしいような、でも悪くない気分で、杉本は尾形にも聞いてみることにした。
    「尾形は?尾形は何か俺に隠してることないの」
    「俺か…」
    尾形は少し考え、なんてことはないが、といった調子で口を開いた。
    「実は、俺のチンコがまだ半分くらいまでしかお前に入らない」
    「………は?尾形のチン…、なんて…?」
    「だから、俺のチンコが、お前の尻に」
    「嘘だろ?!」
    先ほどまでのほんのり甘い余韻は物凄い勢いで霧散し、杉元は衝撃のあまりソファから立ち上がった。
    これまで尾形と重ねてきた行為が、走馬灯のように脳裏を回る。
    大切に抱かれていると感じていた。お互いに満たされていると思っていたが、まさか尾形は半分しか入っていなかったなんて。
    杉元はへなへなと床に座り込んだ。
    「どうした杉元。俺のチンコがそんなに」
    「チンコチンコうるせえな!!」
    杉元は耳を塞ぐようにして頭を抱えた。
    もしかして尾形は、これまでのセックスにちっとも満足していなかったのではないか。気持ち良くもなんともなかったのではないか。
    尾形はその点に関しては何も言及していなかったが、杉元の思考はそこにガツンと行き当たってしまった。
    「なんでだよ尾形。俺が頑丈なのは充分知ってるだろ。捻じ込めよ」
    「?捻じ込めだと?お前に?」
    指の隙間から耳に届く尾形の声には、怒りが含まれていた。
    「杉元、初めて俺とセックスした日を覚えてるか。殴ろうが蹴ろうがびくともしないお前が、次の日青くなって小さくなって仕事も休んだこと、俺は忘れちゃいねえぞ」
    「う…、それはほら、初めてだったから……」
    「初めてだろうがなんだろうが関係ねえ。お前は俺が出すもん出せればそれでいい男だと思ってるのか」
    「そうじゃねえよ。そうじゃなくて、俺はただ、俺の体のことなんかよりお前に喜んでほしいって思っただけだよ」
    杉元のその言葉に、尾形はガリガリと頭を掻きむしり、深い深い溜め息を吐いた。
    「お前こそなんにも分かっていない。俺だけ楽しむもんなのかそれは、二人でいる意味はなんだ」
    尾形はその白い額にのみならず、手の甲にまで青筋を立てて怒り、杉元は小さくなって途方に暮れた。
    お互いを思いやることの、なんて難しいことだろうと。

    数日後、尾形の帰宅を待つ杉元の携帯電話に、メッセージが入った。
    『今夜抱く。尻を洗って待ってろ』
    犯行予告のような、はたまた訳があって字数を制限されているかのようなあまりにもストレートな宣言に、尾形らしくないと思いながらも杉元は準備をすることにした。先日の何気ない打ち明け合いから、遠のいてしまった行為だ。
    欲求が強いわけではないが、ないと淋しくなってしまう。上手く立ち回れるわけでもないのに、受けとめる器官を、持っているわけでもないのに。
    杉元はシャワーを浴びながら、曇る鏡を拭った。
    見慣れた体は成人男性の平均よりも筋骨隆々としており、その上傷だらけだ。顔にまで走る傷跡をなぞりながら、杉元は、もっと小さな顔だったら、と考える。友人の谷垣やキロランケのそれぞれの配偶者を思い浮かべる。
    もっと華奢な顎で、頬も滑らかだったなら。もっと細い首で、柔らかな体だったなら…。俺さえ、違った形だったなら。
    僅かな膨らみすら筋肉の体を撫で洗いながら、杉元は泣きたくなった。

    いつもより遅い時間に帰ってきた尾形は食事を済ませてきたらしく、まだ少し湿っている杉元の髪を撫でると、早々にシャワーを浴び始めた。
    あのように宣言をされてから抱き締め合うのは初めてのような気がして、杉元はそわそわしてしまっていた。
    最初のセックスの時を杉元は思い出す。
    体が縦に引き裂かれるのではないかと思うほど痛かったし、尾形の言う通り、人生で初めて体調不良という理由で仕事を休んだ。
    それから二人、どうやってここまで辿り着いたのだろう。
    思いを巡らせているうちに、シャワーを済ませた尾形がタオルで髪を拭きながら寝室に入ってきた。スウェットの下だけを身に付けた尾形の裸の上半身が、絞ったオレンジ色の灯りの下、やけに白く際立って見える。
    杉元はドキドキしてしまい、耳を赤く染めて俯いた。
    その様子を見た尾形が吹き出して笑う。
    「どうした、惚れ直したか」
    「なんでもう半分裸で来るんだよ」
    「どうせ脱ぐだろう。お前こそきっちり寝巻きを着てるがそのまま眠るつもりじゃないだろうな」
    ちゃんと準備をして待っていましたとは言えず、杉元は相変わらず自分の膝を見つめたまま黙った。
    ぎしりと音を立てて尾形がベッドに上がる。
    側においでと手招きされ向かい合う格好になると、小さな子供を着替えさせるような万歳の姿勢をとらされ、部屋着のTシャツを脱がせられた。
    尾形が顔を寄せてくるので目蓋を閉じると、唇と唇が重なる。それは思いがけず熱く柔らかく、僅かに覗く粘膜同士がほんの少し触れ合うだけで、杉元の奥の奥の欲望が目覚め、下腹の布地を押し上げる。
    夢中になって尾形の首に腕を回すと、尾形も同じように杉元を抱き締めた。興奮した性器が擦れ、痛みに近い快感が背骨を走る。
    至近距離で感じる尾形の肌の匂いに、その暖かさに、杉元は圧倒されそうになった。

    そうだ、そうだった。
    あんなに痛い思いをしても抱き合いたかったのは、つまり…。

    霞む思考の中、下着の中に侵入してきた尾形の掌に杉元の体がぶるりと震え、現実に引き戻される。
    綺麗に洗われ解され、ローションで濡らされたそこに尾形の指が触れる。
    「あっ…、お、尾形っ」
    「本当に準備して待ってたんだな…」
    尾形は杉元をからかわなかった。杉元の下着をすっかり取り払うと、ベッドに横たわらせ、泥濘んだそこに指を埋める。
    繰り返し抱き締めてきたから分かる、杉元の気持ちが良い所を尾形の指が撫でる。
    「ん、んぁっ、そこ、そこきもちぃ……」
    はっ、はっ、と息を荒げ、だらしなく半開きになった杉元の口元から、真珠のような白い歯が覗く。尾形はまるで誘われたようにそこに吸い付くと、杉元の小さな頭を掻き抱いた。
    腕は俺の首に回せ、足は俺の腰に絡めろと、文字通り手取り足取り悪戦苦闘して抱き合った、初めての時を尾形は思い出す。半べそをかき、美しい顔を歪めて耐える杉元のことを、可愛い、と思ったことを思い出す。
    尾形は濡れた指を引き抜くと、硬くなった性器をそこに押し当てた。
    「杉元、挿れたい。挿れていいか…」
    杉元は、ほとんど吐息のような声でいいよと応えた。どちらからともなく、乱れた前髪が落ちる互いの額に手を伸ばす。顔を、よく見せてくれとでも言うように。敏感肌な粘膜と粘膜が触れ合い、湿った音をたてて繋がっていく。
    至近距離で見た尾形が気持ち良さそうに目蓋を閉じるのを見て、杉元は幸せな気持ちで胸がいっぱいになった。尾形は満足そうな溜め息を吐くと、あったけえな、と呟いた。
    「杉元、触ってみろ」
    尾形はそう言うと、杉元の右手を二人が繋がっている部分に導いた。
    「やっ、やだって…!」
    「嫌じゃない、確かめてみろ」
    これまでは、行為中は恥ずかしくて直視したことがなかったそこに、触れさせられる。だからこそ、半分しか入っていないことにも気が付かなかったわけだが。
    初めて触れたそこはよく濡らされ、目一杯拡がり、尾形を受け入れていた。そして、確かに収まりきっていない尾形の性器にも同時に指が触れ、はぁ、と尾形が小さく喘ぐ。
    「健気なもんだろ。ここに無理矢理突っ込んでみろ、絶対にお前がケガをする」
    尾形がゆるゆると腰を動かしだす。張り出した先端が杉元の前立腺を掠める度、杉元の口から押し出されるように声が漏れ出す。
    「杉元、お前分かってないだろ。俺はお前に穴があるから突っ込みてえんじゃねえ。お前だって尻を掘られるなんて死ぬほど痛えだろうに俺にそれを許すのはなんでだ。なあ、どうしてだ」
    白い額に玉の汗を浮かべながら、尾形が語りかけてくる。杉元は、突き上げられてずり上がっていってしまいそうな体を、尾形の首にしがみついて支え、ゆらゆら揺れる足は尾形の腰に回した。
    「あっ、あっ、んぅっ、おがた、おがたぁ」
    杉元は、尾形と抱きしめ合うのが好きだった。それが素っ裸であれば尚更に。
    沸騰しそうな頭で、杉元は一生懸命に考える。
    究極に敏感で繊細な器官を晒して、それでも構わないと思えるのは、相手が他ならぬ尾形だからだ。
    どうしてかと問われれば、大好きだからだ。

    好きだ、大好きだ。愛している。

    セックスは、それを伝える大切な時間だった。男でもない、女でもない。ただの尾形と杉元として、求め合う時間がどうしても必要なのだ。
    「すきっ……、んっ、んあっ、おがた、すきだよ」
    乱れた長い前髪の間から、尾形の大きな瞳が食い入るようにこちらを見つめている。その視線にまで深く深く内側に入り込まれているようで、杉元の身も心もぞくぞくと打ち震えた。
    ずっと大切に抱かれてきた。今も、その前も、前の前もずっと。
    近づいて来る絶頂の気配に、杉元の太ももに不随意に力が入る。
    「あぁ…、気持ち良いな杉元……」
    多分に吐息を含んだ声で尾形が囁く。それが引き金となり、杉元は首を逸らし精を吐き出した。剥き出しになった杉元の喉に尾形が唇を寄せ、堪らないといった様子で甘く歯を立てる。
    二人の固く引き締まった腹を熱い精液が濡らし、杉元は尾形が胎内で脈打つのを感じていた。
    一番近くに、もっと内側まで、尾形を受け入れたい。
    甘美に尾を引く絶頂にいまだ小さく震えながら、杉元はそう思った。

    行為で汚れた体を清め、先ほどまでの熱が少し遠のくと、杉元は猛烈な恥ずかしさに襲われた。
    恥ずかしくて恥ずかしくて、すぐ側にいる尾形を直視することができない。
    ベッドの上でタオルケットの塊になってしまった杉元を突きながら、尾形は小さく笑った。
    「どうした杉元。ずいぶんしおらしいじゃねえか」
    「うるさいっ!」
    何故かいつもより饒舌だった尾形のせいで、杉元はすっかり調子が狂ってしまったと感じていた。
    「もう俺の顔も見たくないってことだな。寝室を分けるか……」
    急に沈んだ調子の尾形の声に、焦った杉元がタオルケットから顔を出す。視界に飛び込んできたのは、にやにやと意地悪そうに笑う尾形の顔だった。
    「やっと目が合ったな」
    「くっそ尾形、小芝居なんかしやがって…!」
    尾形は、輪郭を確かめるように、柔らかな布越しに杉元の体を撫でさすった。
    「杉元はアホだから、どうにもならんことでアホみたいに悩んでるにちがいないと思ってな」
    「アホじゃない、大切なことだろ」
    「……そんなに俺のチンコが」
    「チンコの話じゃない!!それにお前のチンコはいつか絶対に全部収めてみせる……!」
    杉元は半ば叫ぶように宣言すると、タオルケットを飛び出し尾形にしがみつき、倒れ込む。
    成人男性二人分の体重を勢いよく受け止めて、ベッドのスプリングが悲鳴を上げる。
    幼稚な雑言と下ネタが飛び交うベッドの上で二人。息を吐き、息を吸う。愛しい香りが互いの胸腔を満たしていく。
    体は大きく大人になったけれども、言葉はいつも足りず、肌を合わせてもすぐには埋まらない隙間を大切に大切に抱き締めながら、尾形と杉元は眠りに落ちていった。
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