七月二十日、快晴。
笑いの学校らしい派手な祝福の余韻が抜けぬまま光は屋上で呼吸を整えていたが、すかさず追いかけてきた派手な金髪頭を発見してもう一つ息を吐いた。
「誕生日やからって構いすぎっすよ」
「なんなら一日中貸したるで」
「遠慮しときます」
太陽に近い屋上のコンクリートはとびきり熱を帯びており、避難してくる場所を間違えたと光は少し後悔した。ただ、目の前にいる謙也を放っておく気にも不思議とならなかった。
「前から思ってたんやけど、財前の下の名前ってかっこええよな」
「いきなり何すか」
「誕生日に名前の由来思い出すのもええやろ? 俺なんか『やんけ』を逆さに読んだんやて。ひどない?」
「由来とはちゃいますけど、俺、もし女で生まれたら『ひかり』って名前になっとったって、いつか親が言うてましたわ」
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