[ツイログ] 東谷くんが高人さんのチャックをチェックする話言おうか…言うまいか……
かれこれ20分は思案しているが結論が出ない。
「チュン太、このパンケーキほんとに美味いから、お前も食ってみろ」
山盛りのホイップクリームと真っ赤な苺ののったパンケーキを前にあなたが言う。だが俺の視線はさっきからその笑顔ではなく股間に……
この判断は、西條高人の股間…じゃない、沽券に関わる事案だ。
もし言った場合、高人さんはどんな反応をするんだろうか。
『っ、わ、悪い…』
苺よりも赤く色づいて、俯く?
『こ、これは、お前を試したんだ!』
ドヤ顔で誤魔化す?
あぁ、どちらも美味しそうだ。
逆に、言わなかった場合――
いや、ダメだ。
他の人の目に高人さんの下着が晒されてしまう。確か今日は濃紺だったはず。
「高人さん、その……トイレ行きませんか?」
「同時に席を立ったらおかしいだろうが。一人で行ってこいよ」
隣の席との距離は近い。小声にも限界があると思い、スマホでメッセージを送ることにした。
ただ、何と伝えるべきだろうか。
『高人さん、ファスナー開いてます』
いやいや、これでは直接言うのとさして変わらない…し、気が利かないと思われてるかもしれない
『社会の窓がオープン状態です』
いやこれも芸が無い…
『俺の大好きな高人さんの高人さんが、俺をちらちら…』
…変態と思われそうだ
悩んでいるうちに更に5分経過した。
「トイレは?」
「大丈夫です。高人さんと一緒に行きたかっただけなので」
「… 変態か? 」
それだけ言うとまたパンケーキに向かう。俺のことよりパンケーキに夢中だなんてちょっと妬ける。
「どうしたチュン太、食べないのか?」
言えない…こてんと首を傾げるその可愛らしい顔よりもチャックの中身が気になるなんて。
「食べたいです」
「なら早く食え。ほんとに美味いから」
「美味しそうですね」
「美味いぞ。甘くてふわふわしてて」
「…知ってます」
あなたの高人さんは、甘くてふわふわしていて、零す蜜は甘露のごとし。
「…太、チュン太?」
おっとトリップしていたようだ。危ない危ない。
「…はっ、すみません高人さん。これと全く同じものを家でも再現出来ますよ」
「おっいいなチュン太!家でも食べたい!」
「はいっ!お任せください!」
続きは、家に帰ってからのお楽しみだ。
(結局チャックはオープンのまま)
─fin─