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    Enuta_osikatu

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    Enuta_osikatu

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    トマイブえぬの創作夢小説です。
    カニを捌くんです。
    夢とはいえ恋愛要素全くないんで妄想多めだけ。

    カニゴロシ「うお...カニだ。」
    「カニだね。」

    発泡スチロールの中に、カニが2匹あります。
    節足動物特有の遅い、無機物に近いけど確かに命が付いてるのろぉい動きをガッツリ見て、
    二人は何も言わずに、好奇心と遊び心が頭にいっぱいで、
    ただ箱の中の生物のでっかいハサミに挟まれないように
    手をちょん、ちょんと。たまに「うぇえ...w」って情けない声を出た。

    「お前ら食材の下準備できんの?手伝ってくれよ。」
    頼れる百戦錬磨のお魚マスター隊長ことトマトが、台所から暇そうな二人に声かけた。

    「下準備...?野菜ならいけるよ...」
    「魚捌くか?気ま◯れクックでよく見たけど...」
    「はぁ...いい。カニでも捌きに行け。」

    金属の箸一本、食材用のハサミとタワシ。
    ------------------------------

    カニの殻をタワシで泥をごしごしした。キレイになったかも。

    問題はここから。
    さっきまでオモチャにしたカニを、仕留めに行く。
    いかなきゃいけないって言った方が正解かもなぁ。
    足がのろのろと動いてるカニと、目が合ってしまった。
    ここからはこの二匹を、こ、ここ殺しに...

    思わずゴクっと。

    「えぬたんは...カニを捌いたことある?」
    そういえばこの人はこのカニっておみあげで買ってきたんだって。
    お土産にカニの概念って何なん?まぁ...遊びに来たしオレらに楽しんでほしいから買ってきたんやろう。嬉しいけどまさか生きたものとはなぁ...

    正直自炊で処理済みの肉片しか触れたことないけどでもここでお土産の送り主にお土産を捌きさせるのちょっとアレかもしれないけd

    「ん?あるよー。」目の前の女の人は箸を持ってサクッとカニの急所をぶっ刺さった。
    手の中に握ってるカニの動きが、少しもがいてるように見えるが、
    すぐ動きがなくなった。

    「どしたぁ?」
    命を仕留めた直後のトーンじゃないよこんなふわふわしてるの。

    どうにかしてくれないかな...
    って、人を頼りたい僕は頭を上げ、えぬたと目が合わせようとして、ガチで頼ってみようと思った。
    情けない推しで本当にすまんなテヘペロ☆ってきっと何とか...
    一匹ぐらい命を奪った精神状態がこんなに保てられるのなら、二匹目もきっと、締めてくれるはず...!

    でもそこに居るのは、目に光がないえぬただった。

    そっか、君もこういうことに慣れていないのか。

    「ダメだよイブち。命一匹ぐらい...。猛禽類だろう?」
    ふらふらと、箸が渡し出された。
    猛禽類何ちゃらで論破する場合じゃないよこういう時はーーー!!
    「あ、あの...僕...」ゴクリと。

    今怖いのは、命を締めないといけない状態か、
    それとも目の前の別人のような女の人のどっちかわからなくなってきた。
    さては貴方はさっきSANチェックで何点ロスしてたんだよ。

    「さぁ、取りなさい。この箸を使ってこの子を仕留めするんです。」
    箸を僕の掌に握らせようとする軽く押し、声色と口調が完全に人間じゃないナニカになった。
    「おい、ノリでもほどが...」
    「ん?笑」
    抵抗的な反論でもして、この非現実的な沼から逃げようとするが、
    あの薄く笑った目で、圧にやめさせられた。

    もうこれしか...出来ないのか。

    ドクン、ドクンと。

    僕は一回深呼吸して、震えた手で箸を手に取り、
    カニをもう片手で握った。

    「そうです。
    この箸を、ここ、真ん中の柔らかい部分をぶっ刺すんです。」
    「箸を通して、命を奪う感触をじっくり味わいなさい…」おまえだれ

    お手本見せてくれたように、僕は箸を持って...
    なぜか視界が潤ってきた。
    「無理だよ...こんなの...だって、まだ動いてるもん...」
    ガッツリカニと目が合った僕は、本当に限界かも。

    「早く締めてあげないと美味しくないんですよ!あなたに頼るしかないんです!イブち...!」

    ああ...

    初めて奪う命ってこういうものか。

    人間ってそういうものか。

    僕は何も考えないようにして、箸を手に取り、カニに刺した。
    ほんの一瞬だけが、長い時間を経っていたみたいだ。

    力加減が分からなくて、軽く刺したら抵抗の感触が箸から伝わって来てる。
    僕はそれ知りたくなくてもっと力を注いた。

    ザッと、何かを貫通してた感触がよく知って、

    余った力が行き過ぎてカニの甲羅の部分に刺さって、

    僕はびっくりして慌ててテーブルにカニと箸をずさんに置いた。
    目の前にいるのは、初めて奪った命なんだ。

    「素晴らしいです。」
    涙で歪んで見える僕の視界は、同じく目が光っていないえぬたが拍手してきた。
    何故僕はここに居るのか分からなくなってきた。

    「生物ってこういうものなのです。食うために命を奪い、そして生き続く。」

    「でもこの行為に不要な感情を込もつ、そして苦しむ、だから人間が素晴らしい。」

    僕も人間…

    「これで貴方も、共犯者ですね。」

    もう嫌だ。何も考えたくない。


    「お前ら何やってんの?
    カニ捌きに行けって言ったのにいつまで…
    うお?!イブスケ何で泣いてる…」

    魚を捌き終わったトマトは促しに来た。
    淡い魚の血の匂いは、この人も散々命を奪った証拠なのか。

    「うぇぇん……みんな嫌い......」

    「あ…嫌われたw」
    「え嘘wえぬたが泣かせたのw?なんで?」

    こうして、ワイワイした3人は海鮮を沢山楽しんで、愉快な午後を過ごした。


    ---------

    後書き:
    トマトさん本人:「殻ごといこう」
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