口直しには紅茶をアズールは珈琲が飲めない。いや、飲めないというのは正確ではない。客の前や、訪問先で出されたときは失礼のない範囲で、さも問題ないという顔で飲んでみせる。しかし、後から猛烈な勢いでジェイドやフロイドしかいないところで、不満を垂れ流すのだ。やれ、苦いだの、飲み物にしては主張が強すぎる、だの、色がそもそも食欲をそそらない、だの、食後は珈琲一択の店は気が利かない、だのと無限に文句が出てくる。そして口直しに寮に戻ってから、必ずジェイドの淹れた紅茶を飲みたがる。
「ジェイド、お願いします」
何を、とは言わない。二人のルーティンだからだ。こういうときには、フロイドには頼まない。フロイドの気分が乗らないと、ごめぇん、茶葉切らしてたーなんて言いながら、最悪また珈琲を出してくる可能性がある。
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