レンマサの始まり方ってどんな感じかなってお話「お前に恋愛ってものがどういうものなのか、教えてあげるよ」
セリフの甘さとは比べ物にならない程の低音で喉が鳴った。威嚇にも等しく、しかしこれは愛の告白ではなく宣戦布告であったから問題にはならなかった。ーー仲間へ突きつけるものでは決してないのであろうが。
その証拠に、言われた聖川は言葉を飲み込めずに呆気にとられている。それもそうだ。なんの前置きもなく、いきなり本題だけを切り出したのだ。相手を気遣わない無作法な会話は普段ではありえないことで、だからこそ非日常への一歩となる。
レンは、長年の付き合いである聖川と恋愛することにした。幼馴染であり、同級生であり、今ではアイドルグループのチームメンバーであるこの男と。決して恋情からの申し出ではなく、腹の底から湧き上がる怒りに似た激情からである。この怒りが風化する前に、この男に思い知らせなければならなかった。
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