どっちかがイかないと出られない部屋に閉じ込められたつくちょ 「待て待て、待て!これは俺が知っているのと違うぞ!普通は逆だろう!」
「世の中に絶対なんてないよ。例外はつきものという理を知れて良かったじゃないか」
目を細め脹相を見下ろす九十九はどこか得意げで、それでいて今まで見たことがない九十九由基でもあった。精神的にも実力的にも感じていた頼もしさは息を潜め、彼女の獲物を見定めるかのような視線に脹相の喉がヒュッと鳴る。同時に脹相を閉じ込める九十九の腕から逃れようとする身体の動きが止まった。
喰われる、と思った。
なにが不味いかはわからない。具体的な理由があったわけではないが、言いようの無い危機感を覚えた。抵抗していた腕は大人しくなり、その先の掌は着衣の胸元を弱い力で歪ませた。
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