Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    tuka963

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 🍊 🔮 💚 🍫
    POIPOI 25

    tuka963

    ☆quiet follow

    平和な昼を過ごす樹さんと光牙さんのお話です

    よくある昼の、よくある日常の、 例えばそれは、あり得たかもしれない——そんなよくある日常の一ページ。
    「なあ、暇」
    「暇って、貴方……」
     不満そうにソファから、言葉を投げる光牙に樹は呆れた様な視線を落とした。
     しかし、やることがないというのは、光牙からすれば間違いではない。
    それは、樹も理解はしていた。
    「じゃあ、家事手伝ってくださいよ」
     洗濯物を抱え視線を送るも、『お断り』という様に、視線を逸らされる。
    「ヤダ。今日、俺当番じゃねぇーし」
    「暇、と言ったのは貴方でしょう」
    [だって、暇じゃね? 朝陽は用事があるって出かけたし、青斗はバイト。ロイのやつは気がついたらどっか行ってた」
    「気がついたら⁉︎ 一言もなく?」
    「だから、暇」
    [ロイは探しに行かなくて良いんですか?」
    「多分散歩だろ? それか、青斗のバイト先」
     ロイならどちらも正解なのだろう。
    樹は呆れた様に息を吐くが、相手は成人。
    心配はいらないだろう、と思考を切り替える。
    「で。それで、私に声をかけたと」
    「そうそう! 樹も休憩大事だろ? 遊ぼーぜ」
    「お断りします。これから洗濯物を干さないといけないので」
    「いーじゃん、ちょっとくらい」
    「駄目です。まあ、白鷹さんが手伝ってくれるなら、早く終わって時間もできるでしょうけれど」
    「う……」
     面倒だと思いつつ、今アジトにいるのは樹だけ。
    その樹も、やることがある。
    手伝わないなら、暇な時間が長く続くだけだ。
    ——となれば、仕方がない。
    「わかったよ、手伝えば良いんだろ」
     渋々ソファから立ち上がり、樹に着いていく。
    「終わったら、白鷹さんに付き合いますよ」
    「じゃあ——」
    光牙の言葉に樹は目を丸くした。
    「……まあ、いいでしょう」
     洗濯物の束を手渡し、二人で作業を始める。
    なんでもない話をしながら。
     そうしてやるべきことを片付け、向かったのは公園。
    いや、正確に言えば公園の奥にある駄菓子屋だった。
    「両手いっぱいに駄菓子を抱える成人男性……いくらなんでも、シュールすぎませんか……」
    いつだか学園に潜入した時、ロイも似たようなことをしていたな、と少し眩暈がした。
    「別にいーだろ! ほら樹! これやるよ」
    差し出したのは、二つ折りのアイス。
    「いえ、私は結構です」
    「んな冷たいこと言うなって。ほら、今日あちぃし」
    「白鷹さんが買ったんですから、一人で食べればいいでしょう」
    自分に差し出したことを『理解ができない』という顔で見つめる。
     そんな樹の表情など気にせず、光牙はアイスを折り、片方を改めて樹に差し出した。
    「ほら! 食ってみろって!」
    「あぁ……もう。分かりました、頂きます」
     諦めてアイスを受け取ると、光牙はいたずらに笑った。
    「他の奴らにはナイショな!」
    「はいはい」
    ——きっと、こんな日もいつかは日常になる。
    きっと、よくある日常に。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🙏🙏🙏👏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works