虎杖悠仁は2学年先輩の五条悟が苦手だった。
入学当初からあからさまに避けられている自覚はあった。あの眼は他の人達より明確に悠仁の中に巣食う呪いを見透かしている。その禍々しさを見れば、まともにヒト扱いできないというのも頷ける。
けれど悠仁は、あの圧倒的な強さも強靭な精神力も、悠仁以外の仲間たちに見せる子供っぽい性格も、全てに憧れていたから正直ちょっと辛かった。
だから最近は、校内でもなるべくかち合わないように学食や自主練場に行く時間をズラしたりと気を付けていたのだが…
——任務で2人きりってのは避けようがないよなぁ…
東京近郊の山奥での呪霊討伐任務に五条と虎杖が派遣された。呪霊の等級は五条からすると御粗末、悠仁にはやや難易度が高い程度のもの。補助監督と別れた後は、五条は完全に後方で静観の構えで。「実質ただの引率役」に徹するつもりらしいと悟った悠仁が何とか独りで祓った時には、高かった日が傾きかけていた。
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